国保税水準統一で合意 県と25市町、28年度以降

2020年度の1人当たり平均保険税額(調停額ベース)

 市町ごとにばらつきがある国民健康保険(国保)の保険税水準について、県と25市町が将来的に統一させる方向で合意したことが1日までに分かった。統一の時期は早くても2028年度以降となる見通し。統一に向けた見直しの一環で、県は国保の財源として25市町から徴収している「事業費納付金」の算定方法も変更する。

 自営業者や年金生活者、非正規雇用者らが加入する国保は構造的な赤字体質にあり、国は財政基盤を安定させるため、18年度に財政運営の主体を市町村単位から都道府県単位に移した。

 本県では、県が各市町の医療費や所得の水準などを基に事業費納付金を算定。各市町がその額を踏まえて加入者から徴収する保険税を決めているため、市町によって差が生じている。

 県国保医療課によると、20年度に1人当たりの平均保険税が最も高かったのは高根沢町で11万6239円。次いで上三川と栃木、芳賀、壬生、下野、真岡、さくら、野木の8市町も10万円を超えた。一方、最も安かったのは市貝町の8万3541円で、最も高い高根沢町と約1.4倍の開きがあった。

 現制度では、加入者が少ない市町で高額医療を受ける人が続いた場合、納付金が大幅に上がり同じ市町の加入者の保険税も急に高くなる可能性があるという。保険税水準を統一すればこうした事態となるリスクが下がり、受益と負担の公平性が図れるとしている。

 国は「同一都道府県で同じ所得水準・世帯構成であれば同じ保険税水準」とすることを目指しており、県は21年度に25市町との協議を開始。課題などを共有した上で、将来的に保険税水準を統一することで合意した。

 事業費納付金の算定に関しても24年度からの5年間で、各市町の医療費水準を考慮しない方式に段階的に移行していく。これによって水準が高い市町は納付金額が下がり、低い市町は納付金額が上がるという不公平さが生じてしまうため、低い市町には医療費水準に応じて負担を減らす新たな緩和措置を導入する。

 同課は「国保の持続的運営には広域的な相互扶助と被保険者間の公平な負担が重要。市町と協力して安定的な運営を図っていきたい」としている。

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