【豊後高田】豊後高田市城前の民家で、福岡県直方市の女性が亡き父が手作りした能面や仏像などの木工作品を展示している。「いつか自分の作品を地元の人にお披露目したい」という夢を、亡くなって20年を経てかなえた。「父の力作を見に来てほしい」と呼びかけている。
女性は次女の木村せいこさん(68)で、父親は広元守さん(享年86)。
広元さんは旧真玉町(現豊後高田市)で建具店や家具店を営み、1981年に店を閉めてから趣味で木彫りを始めた。手先が器用ですぐに上達。土産品のこけしや近所の人に頼まれた作品を作ることもあり、2002年に亡くなる直前まで彫り続けたという。
会場には高さ2メートルほどのクスノキの根に弁財天やトラなどを彫り込んだ大作や能面、木調や木の造形を生かした菩薩(ぼさつ)などの仏像、百人一首の句を書いた書や掛け軸など20年間に制作した約100点が並ぶ。
生前は作品を発表する機会は旧真玉町の展覧会しかなく、地元の人に見てもらえる小屋を造る計画も立てていたが実現しなかった。
展示場の民家は広元さんの死後は空き家となり、作品の多くは倉庫に入っていた。木村さんが処分も考えていたところ、作品を見た知人らの勧めで展覧会を企画した。
木村さんは「ほこりをかぶっていた作品を磨いているとお面や仏像の顔が笑顔になったような気がした。これからも帰省のタイミングで作品展を開いて、地域を盛り上げることができれば」と話している。
展示は5日までの午前11時~午後3時。地元でおせったいがある10日も午前9時~午後2時の間、開場する。問い合わせは木村さん(090.2391.1030)。