5月4日、静岡県の富士スピードウェイで開催されているスーパーGT第2戦富士のレースウイーク中に開催されたGTアソシエイションの定例記者会見のなかで、GTA坂東正明代表は、雨中のレースながら多くのファンが訪れた第1戦岡山、そして前売観戦券完売となった第2戦富士を迎え、改めてファンの声援の大切さ、そして今後もモータースポーツが元気であることを発信していきたいと語った。
2019年12月に中国で始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、2020年にはスーパーGTをはじめ国内モータースポーツにも大きな影響を及ぼした。スーパーGTでは、その年のセパンでのメーカーテストこそ行われたが、2020年3月の岡山公式テストは無観客開催に。さらに第1戦岡山は延期が決まり、3月28〜29日の富士公式テストは、直前に首都圏周辺の1都5県に出された外出自粛要請等の影響をうけ、前日になって中止が決定。その後も前半戦は無観客開催となるなど、他のすべてのプロスポーツ同様、大きな影響を受けてきた。
そこからスーパーGTでは、独自の感染拡大防止ガイドラインを定めるなど、他シリーズよりも徹底した対策をとりながらレース開催を進めてきた。ようやく観客動員に関する規制が解けた2023年、第1戦ではスタンドからファンの声援が飛び、パドックにもファンが戻るなど、2019年までの姿を取り戻しての開催となった。
そんな第1戦岡山の状況をうけ、坂東代表は「我々は2020年から新型コロナウイルス対策をやってきたが、初めてその対策をとったのは、富士公式テストからだったと思う。東ゲートですでに搬入のトレーラーが待っているなか、そのなかで首都圏の要請をうけ中止にした。そこからスタートし、イベントは全8戦のなかで無観客の状況もあった。でもみんなの協力を得て8戦を開催することができた」と苦しかったこれまでのシーズンを振り返った。そして、坂東代表がコロナ禍のなかで改めて感じたのは、ファンの声援の大切さだという。
「その時も感じていたが、我々にとっては、やはりお客様がスタンドにいて、多くの方々が応援してくれることがスタートであり、根底にある。J SPORTSやSUPER GT Video Onlineなどいろんな手法があるが、“肌の触れ合い”ではないけれど、やはりスタンドにお客様がいて、大きな声で応援してくれて、実際にファンの皆さんが現場で観てくれることが、どれだけ大事かをすごく認識したと坂東代表。
「そこからやっと、雨の中ながら岡山ではより多くのお客様が応援してくれた。パドックにもたくさんの人たちが来てくれた。やはりこの環境が我々にとっては必要だと思う。メディアも、チームも、オーガナイザーも大事だが、やはりお客様があってこそ。これこそがモータースポーツと言えるものであるとプロモーターとして感じている」
■「モータースポーツが元気だと発信していきたい」
この第2戦富士の後、5月8日からは新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置づけが5類に変更される。「今後、コロナ対策については自己管理になるが、前を向いてしっかり進みたい」と坂東代表は言う。コロナ禍は明けても、今のスーパーGTには、自動車業界全体の変化に対応しながら、カーボンニュートラルという新たな課題に取り組まなければならない。
「今の環境に対応しながら、レースをいかに継続して作り上げるかという課題はあるが、みんなで協力してやってきたことがひとつになって迎えられた第1戦だったと思う」と坂東代表は語った。
「今回の第2戦では、晴天のなかレースを迎えることができ、より多くのファンの方々が応援してくれ、サーキットに来られる、来てもらうという環境が、我々のレースにとっては必要なことだと自覚した」
そして、第2戦では2019年までを思い出させる盛況のなかで、決勝レースを迎えることになる。「プロ野球もサッカーも、たくさんのファンが入り、満員御礼になっている。スポーツがこれだけ盛況になっているなかで、『モータースポーツもこれだけ元気なんだと見せていきたい』と坂東代表は語った。
「駐車場等についてもより多くの駐車場の確保など、オーガナイザーと話をしていきたい。満員御礼のなかで、モータースポーツが元気だということを発信し、これがスタートだということをみせていきたい。そしてその中で、今後も音の出るレースを望みながらやっていきたいと思う」
