チーピン&プッシュに効くリストワークのちょっとした味付け

チーピン&プッシュに効くリストワークの味付けとは

たまに出るチーピンに悩むハンディキャップ2の上級者のスイングを徹底解析

上級者は、ほぼ間違いなくインサイドからクラブを下ろせていますが、不調になるとチーピンやプッシュアウトなどに悩まされがち。その場合、たいていは腰の動きや腕の使い方に問題が潜んでいるんです。今回は上級者向けのお話ですが、初級者や中級者の方にも参考にしてもらいたい腕の使い方についてレクチャーしましょう。

今回の受講者は…

「ゴルフは小学生の頃から始めて大学もゴルフ部でしたが、社会人になってラウンド数が大幅に減り、体力が落ちたせいか疲れてくると時々チーピンが出てしまいます。スイングに根本的な問題がないかどうか、総合的にチェックしてもらいたいです」(岡山さん ゴルフ歴14年、ハンディキャップ2)

分析データを見ると各項目とも大きな欠点はないが、「つかまり指数」がやや低め

ヘッド挙動、シャフト挙動、体の動きの解析をひと通り行った結果をグラフにすると、プロのように面積が広く、特に大きな欠点はないように見えます。さすが上級者です。気になるところは、アームローテーションに関わる「つかまり指数」がやや低いというところ。上級者の場合、多くの問題はここにあるのです。ただしどんなレッスンを施すかは、リストを多く使うリストターンタイプか、体の回転を主体に振るボディターンタイプかを見極める必要があります。

シャフトの動きを解析すると「リストターン比率」が高い。腕を積極的に使うタイプであることが分かる

シャフト解析のデータを見ると、岡山さんはリストターン比率の数字が大きく、リストワークを積極的に使って球をつかまえるタイプであることが分かります。簡単に言うと、テークバックからインパクトにかけてのフェースの開閉が大きいので、インパクトへ向けてリストワークを使ってフェースを戻す意識が必要ということです。一方、スイングのレベルが高く安定しているので、シャフトをフィッティングするだけでも問題点をある程度改善することが可能です。

左前腕の回旋角度が、アドレス時の内旋20度に対してインパクトでは内旋34度と、14度も戻っていない

つかまり指数に関する問題を、モーションキャプチャーのデータで詳しく見てみましょう。左前腕の回旋量(写真内「腕のローテーション」部)を見てみると、アドレス時の内旋20度(黒字が内旋)の状態から、トップで107度まで内旋し、そこからインパクトに向かって腕が外旋して戻りますが、それでもインパクトで内旋34度にとどまっています。アドレス時の腕の回旋量である内旋20度まで戻るのが理想ですが、14度も戻っていない状況です。

リストワークで球をつかまえる理想的な腕の使い方とは?

プロ(左)と比較してハーフウェイダウンでクラブが寝てしまっている

この問題は、スイング動画からも見て取れます。飛球線後方からの動画でハーフウェイダウンの状態を同じリストターンタイプのプロと比較してみましょう。プロはアドレス時のボールとひじを結んだ「エルボーライン」に沿ってクラブが下りているのに対して、岡山さんは、クラブが寝て下りています。調子が良いときにはこれでもボールを上手くミートできるかもしれませんが、疲れてくるとどうしても問題が浮き彫りになってくるのです。ハーフウェイダウンで大きくクラブが寝る人は、つま先上がりのライから球を上手く打てないのも特徴の一つです。

高くティアップしたボールにコンタクトできますか?

試しに高くティアップしたボールを打ってみましょう。地面にある球ならインパクトまでにアジャストできたものが、ここまでティアップが高くなると途端に球よりも下を振ってしまうようになります。岡山さんもボールに当てることすらできず、ティのかなり下に当たってしまいました。ダウンスイングでクラブが寝ないように、クラブを立てて扱うようなリストワークが疎かになっているからです。

水平素振りで左腕の使い方を覚えましょう

水平素振りで、正しい腕の使い方を覚えましょう。このように、体の正面にヘッドを上げて、ヘッドの位置に合わせたところに目標物を吊るしましょう。今までのスイングだと、ここにヘッドを当てることはできません。ダウンスイングで腰を切っていくリズムに合わせて左腕を外旋し、シャフトを立てていくように意識することで、目標に当てられるようになります。この腕の使い方がダウンスイングでクラブを寝かさず、エルボーラインに沿って下ろすためのコツなのです。

それでは、今回のレッスンを動画でおさらいしましょう。

動画:上級者のチーピンをちょっとした意識で修正【サイエンスフィット】動画はオリジナルサイトでご覧ください

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