全国植樹祭まで1カ月 半世紀ぶり岩手県開催、利用促進へ期待

 

 岩手県陸前高田市で開かれる第73回全国植樹祭まで4日で1カ月となった。天皇、皇后両陛下が即位後初めて来県される見通しで、半世紀ぶりの祭典に向けた準備が着々と進む。本県は県土の約8割を森林が占める全国有数の林業県。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ木材需要は回復基調にあり、関係者は「県産材の魅力を全国に発信する絶好の機会」と利用促進へ機運を高めている。

 植樹祭には全国から林業関係者ら約4200人が参加する。式典行事の際に天皇、皇后両陛下が着座される「お野立所(のだてしょ)」などに県産材を使うほか、木材の特長を紹介するコーナーも設ける予定。気仙地方森林組合の河野文彦参事は「全国の人に豊富な木を見てもらい、利用拡大の弾みになれば」と期待は大きい。

 県内の森林から生産される原木の量を示す素材生産量は、東日本大震災で製材工場などが被災した2011年に98万立方メートルと落ち込んだが、復興需要で15年は152万立方メートルに増加。コロナ禍に伴う供給網の混乱で再び停滞したが、世界的に木材不足が深刻化した「ウッドショック」で引き合いが強まり、21年は143万立方メートルまで回復した。

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