帰省や旅行などに欠かせないのが駅弁やお土産。こうした旅のお供をピンチに陥れているのが長引く卵の高騰です。すでに商品が出せるか出せないかの瀬戸際に追い込まれています。
代々引き継いだ秘伝のタレが染み込んだ鶏肉とふっくらとした卵が自慢の親子丼。静岡市葵区の中村屋では、親子丼の具材・卵と鶏肉のダブル値上げに苦しんでいます。
<中村屋 倉田沙也加さん>
「卵がここまで値上げすることは本当になくて、それが一番大きい。鶏肉も一気に上がった」
値上げの波によって、お米や調味料、弁当の容器まで高くなっていますが、特に深刻なのは卵の数が確保しづらくなったことです。
<中村屋 倉田沙也加さん>
「大変は大変だけど、変わらない味にこだわって、お客さんにとって、前と変わらないねって言ってもらえるような親子丼を毎日作っていくことだけを考えている」
中村屋は伝統の味を守りたいという思いだけで、何とか踏ん張っている状況です。
<井手春希キャスター>
「ゴールデンウイーク後半。お昼時ですが、土産物選びを楽しんでいる方が大勢います。そして、こちら、レジに並んでいる方も多くいて、列ができています」
連休真っただ中の5月4日もJR静岡駅のお土産売り場は、多くの観光客で賑わっていました。
<名古屋からの観光客>
Qお土産を選んだ決めては?
「この辺で作っている物かなと思って、やっぱりお茶が有名なので、そういう物がいいかな」
<茨城県からの観光客>
Qお目当ては?
「こっことか食べてみたくて」
Q元々知っていた?
「(静岡に)来る前にちょっと調べて、このお土産が有名だと知って、欲しくて買った」
静岡の有名なお土産「こっこ」は卵をふんだんに使います。「こっこ」を製造・販売する「ミホミ」も卵の高騰と不足に悩まされていて、約40年愛されている看板商品がピンチだと悩んでいます。
<ミホミ 中村宗一郎さん>
「コロナ禍が明けて、今年は…と思っていたところに、まさかという(出来事)」
深刻な卵不足を乗り切るため、「ミホミ」では看板商品に頼らない経営戦略に舵を切りました。
<ミホミ 中村宗一郎さん>
「考え方を変えて、ピンチはチャンスみたいに、『こっこ』だけなく、安倍川もち、その他の商品を頑張って売っていくチャレンジをしている」
静岡らしさを前面に出そうと「こっこ」と「安倍川もち」などが入った手土産セットを販売予定。新たな稼ぎ頭を生み出したい考えです。
<ミホミ 中村宗一郎さん>
「『こっこ』のミホミだと、思われているが、『こっこ』も安倍川もちも販売しているということを知ってもらいたい」
卵の高騰は深刻です。JA全農たまごによりますと、東京市場での出荷額は1年前は1キロ219円でしたが、2023年5月は350円と1年前と比べ130円以上値上がりしています。親子丼を販売する中村屋の倉田さんは今後、焼き鳥の販売を考えていて、多角経営でリスクを減らすことを目指したいとしています。