伝統の「北関東剣道大会」 競技者減やコロナ禍の影響で終幕

熱戦が繰り広げられた「北関東剣道大会」

 【足利】昭和20年代に始まった伝統の「北関東剣道大会」は3日、フカイスクエアガーデン足利(市民体育館)で開かれた70回大会を節目に幕を閉じた。少子化などに伴う競技人口の減少や運営側の高齢化に加え、新型コロナウイルス禍が影響した。4年ぶりの今大会には500人超の剣士が出場しており、主催する足利剣道連盟の幹部は「苦渋の決断だった」と悔しさをにじませた。

 大会は、東日本大震災が発生した2011年とコロナの影響を受けた3年間以外は毎年開催してきた。新チームの腕試しとして定着し、群馬や茨城からも剣士が出場する。

 だが近年、少子化や他スポーツの人気に押されて競技人口が全国的に減少。学校の剣道部への入部者も減り、廃部になるケースが出ている。そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。関係者によると、近距離で大きな声を出す競技であることも、敬遠される要因となった可能性がある。

 さらに、連盟会員の高齢化に伴い大会運営が困難となったことから、70回大会を最後に終了することにした。

 今大会には小学生43チーム、中学生33チーム、一般(大学生以上)の男女31チームが出場。全日本剣道連盟の指針にのっとり、マスク着用などの感染対策を徹底した。剣士たちは積み重ねた稽古の成果を発揮し、気迫のこもった試合を展開した。

 連盟の堀井治雄(ほりいはるお)会長(72)は「今は悪循環に陥っています。このままでは日本の伝統文化が廃れてしまう」と危機感を募らす。逆風となっているが、ポストコロナに向け、「剣道は心身を鍛錬する人間形成の道です。教育的効果も高いので、ぜひ剣道に興味を持ってもらいたい」と呼びかけた。

500人超が出場した「北関東剣道大会」

© 株式会社下野新聞社