入善唯一の銭湯「観音湯」復活 合同会社善商、時短・省人化で経営改善

今春、営業を再開した観音湯

 人手不足から一時休業していた富山県入善町内唯一の銭湯「観音湯」(入膳)が今春、復活オープンした。町内の経営者でつくる合同会社善商(浜田雅弘代表)が「地元の憩いの場を絶やしてはならない」とスタッフを確保。閉店の危機から脱し、これからも住民にリフレッシュの時間を提供していく。

 観音湯は約65年前に創業。2018年に店主が病気のため閉店し、町から銭湯が消えた。黒部市以東に銭湯はなく、復活を望む声が相次いだことから、善商が経営を引き継ぐ形で20年11月に再開した。今年の年明け、番台に立っていた元善商のメンバーら2人が引退を申し出た後、現場を担う人がなかなか見つからず、3月下旬から休業した。

 復活オープンにこぎ着けたのは4月10日。現在、新たにスタッフとなった5人が番台などの業務を担い、善商のメンバーも本業の合間を縫って無報酬で手伝っている。町からも支援金を得られることが決まった。

 再開に伴い、運営方法も見直した。人手不足に悩まされた要因として、清掃やまき入れなど仕事が体力的にきついことにあると分析。そこで、営業時間を1時間短縮して午後9時半までとした。夜間は試験的に番台に人を置かないなどスタッフの負担軽減に取り組む。売り上げ管理がしやすい券売機も導入予定だ。

 燃料価格高騰が経営に重くのしかかる中、集客のため、利用料金がお得になる回数券の取り扱いも始めるなど工夫している。浜田代表は「地域のコミュニティーとして続けないといけない。利益が出せるよう経営改善したい」と話す。

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