豊漁と成長祈願 伝統の和船競漕 松浦・鷹島「せいぐろ」

スタートの合図で櫓をこぎだす選手たち=松浦市、阿翁浦港

 長崎県松浦市鷹島町の阿翁浦(あおううら)港で5日、こどもの日の伝統行事の和船競漕(きょうそう)「せいぐろ」があり、中学生と一般の計18チームが木船に乗り熱戦を繰り広げた。
 新型コロナ禍の影響で4年ぶりに開いた。「せいぐろ」は市無形民俗文化財。鎌倉時代の元寇(げんこう)の際、元軍船に夜討ちをかけた名残という説や、豊漁と男子の健やかな成長を願い漁師らが始めたという説もあるという。
 コースは港内往復の300メートル。折り返し地点とゴールに浮かぶ旗2本を取るタイムを競う。木船に乗り組んだ10人前後の選手たちは、かけ声に合わせて四つの櫓(ろ)を懸命にこぎ進めた。今回は当日まで練習なしの一発勝負。スタート直後から船の進行方向が定まらず逆走するチームもあった。
 選手宣誓をした市立鷹島中3年の近藤心優さん(14)は「皆と息を合わせるのが難しかったけど、初めてやってみて楽しかった」と笑顔で話した。
 全レースの結果、阿翁浦地区9.10組が3分24秒で優勝。2位は同6.7・8組、3位が漁協青年部だった。

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