G7サミットに合わせ日韓首脳が韓国人原爆犠牲者慰霊碑へ 在日韓国人被爆者「うれしい。対話で平和築いていくきっかけに」

日韓首脳会談のあとの会見で、両首脳がG7広島サミット出席に合わせ平和公園の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れると明らかにしたことに、在日韓国人被爆者は「対話で平和を築いていくきっかけになってほしい」と歓迎しました。

就任後、初めて韓国を訪れた岸田総理は、尹大統領と会談しました。日韓首脳が相互の国を訪れるのはおよそ12年ぶりです。

韓国 尹錫悦 大統領
「両国が過去の歴史が完全に整理されなければ、未来協力に向けて一歩も踏み出せないという認識からは脱するべきだと思います」

歴史認識をめぐって岸田総理は、「歴代内閣の立場を引き継ぐという政府の立場は今後も揺るがない」と強調しました。

岸田文雄 総理
「私自身、当時厳しい環境の下で多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思いです」

日韓のシャトル外交を再開させた両首脳は今月のG7広島サミットの際に…。

韓国 尹錫悦 大統領
「私の広島訪問のきっかけに、私たち両首脳は平和公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を一緒に訪れ、参拝することにしました」

広島では…。

在日本大韓民国民団 広島県地方本部 文晶愛 副団長
「韓国にいる友人にもぜひ広島のことを知ってもらいたいという意味で、両国の代表者が一緒に参拝することには驚いていますが、非常にうれしく思っています。両国の友好の発展につながるのではないかと期待しています」

女学校1年生のときに被爆し、90歳を超えた今も被爆証言をしている在日韓国人被爆者の 朴南珠(パク・ナムジュ)さん(90)は、RCCの取材に対し、「大統領の訪問はうれしい。慰霊碑に遺骨はないですが、お墓参りは気持ちがあってのことなので、ニュースを聞いてうれしかった」と述べました。

パクさんは、8月6日の光景を忘れられません。「空は広島の炎で真っ赤でした。黒い雨にも浴びました。原爆はなんてひどく残酷な爆弾なのかと、いつも思う」と話します。

去年2月、ロシアがウクライナに侵攻し、核兵器の使用も示唆する姿勢に「一晩中、眠れませんでした」と振り返ります。

それだけにパクさんは「武力はいけない。言葉で、対話で平和を築いていなければいけない。今回の訪問がそのきっかけになってほしい」と述べ、「今の平和は、たくさんの命と悲しみのうえにあることは忘れていけない。二度と繰り返されないように私は伝え続けていきます」と力を込めました。

去年の8月5日には、韓国人原爆犠牲者慰霊碑で53回目となる慰霊祭があり、遺族や在日韓国人の被爆者などおよそ100人が参列して献花しました。

慰霊碑には去年8月の時点でおよそ2800人の名簿が納められています。

原爆では当時、広島にいた多くの朝鮮半島出身者も犠牲になりました。

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