「平和だからスポーツができる」G7広島サミット 参加国カナダ発祥「キンボールスポーツ」を熱く体感

伊東平 アナウンサー
平和だからこそ、スポーツができる。G7広島サミットがある今こそ、その喜びをかみ締めたい。わたくし 伊東平 が、各国発祥スポーツを熱く体感します」

広島サミットまであと2週間。参加国のスポーツを体感取材するこの企画、1回目はフランスの「ペタンク」を紹介しました。

2回目の今回は、カナダ発祥のこんなニュースポーツです。

伊東平 アナウンサー
「広島から新幹線に揺られまして8時間、千葉県の鴨川市というところにやってきました。あるスポーツの日本代表候補の合宿が行われているということなんです。きょう、体験するのは、こちらのスポーツです」

カナダの体育教師 マリオ・ドゥマース 氏が、1986年に考案した「キンボールスポーツ」。直径122センチの大きなボールを4人1チームで協力しながら戦います。

日本キンボールスポーツ連盟 辻貴雄 理事
「(ボールの)重さが1キロあります。こんなに大きいのに1キロぐらいしかないんですね。割と簡単に持てる感じですね」

この日は、なんと日本代表候補選手が合宿をしていました。

辻貴雄 理事
「“ネットのないバレーボール” のような、ボールを落としたらダメだっていうルールが大前提にありまして。ただ、ほかのスポーツと一番違うところは、3チームが同時に競うというところですね」

20メートル×20メートルのコート中でヒットとレシーブを繰り返し、1ピリオド・7分間で競います。実はわたくし、長野の小学生時代に体験したことがあるんです。

伊東平 アナウンサー
「この日本代表候補の合宿で目立とうものなら、いきなりスーパールーキーみたいなのがあるかもしれないので、あらためてよろしくお願いします」

まずは、ヒットの練習からスタートです。

辻貴雄 理事
「両手を組んで、ひじを伸ばして真っすぐ後ろに引いて、そのまま真っすぐ真ん中を打ち抜く。下向きに打つのは反則なので、真っすぐか、ちょっと上に。先に当てると痛いので、この辺に当てるといいです」

伊東 アナ
「待ってください。けっこうかたいんですね、バーンという衝撃がけっこうありました」

打つときは、ほかの3人がボールに触った状態で、一番高い得点のチームの色を「オムニキンブラック」とか「オムニキングレー」と宣言して打たないと反則となり、他チームに得点が入るルールです。

ヒットが決まると、落としたチーム以外の2チームに得点が入ります。

辻貴雄 理事
「『オムニ』っていうのが、『みんなの』という意味がありまして、キンボールの『キン』は、『運動感覚』っていう意味がありまして、みんなで楽しみましょうという意味が込められている」

伊東 アナ
「オムニキンピンク! みたいな感じですか?」

辻貴雄 理事
「いいですねえ、いいんじゃないですか?」

伊東 アナ
「一生懸命になっていると、宣言を忘れちゃいそうになりそうですね」

続いてはレシーブの練習です。

伊東 アナ
「いつも野球だとグローブでとっていましたけど…」

辻貴雄 理事
「落とさなければ足を使ってもかまいません」

伊東
「足もいいんですか?」

辻貴雄 理事
「うまい、うまい。身体能力よりも、4人のチームワークがうまくいった方が勝てる。身体能力が高いからといって、勝てるわけではないというのが、おもしろいところですね」

伊東 アナ
「これ、ちょっとなんか楽しいですね。さっそく楽しいんですけど」

辻貴雄 理事
「とりあえず触ればなんとかなるかなあっていう、仲間を信頼してプレーが続くという感じですね」

伊東 アナ
「これ、ちょっとチームでやったら絆が深まりそうですね」

辻貴雄 理事
「初めて会った人でもチームで1試合やると、すごく仲間になります」

伊東 アナ
「これは、G7の首脳のみなさんにやってもらいましょうよ」

辻貴雄 理事
「それは、ぜひ」

意気揚々だったわたくしですが、日本代表候補に挑戦するぞと、その練習を見てみると、男女とも激しすぎて、全く違うスポーツに見えてしまうのは、気のせいでしょうか。

20代から30代の男女20数人ずつが集められた強化合宿。ここから12人ずつに絞られるため、激しい競争が続きます。実は、日本は男女とも世界の強豪国の1つでワールドカップでも2位や3位になるなど大活躍しています。

伊東 アナ
「今、入れ替わりましたね」

辻貴雄 理事
「今のは2人しか持ってない状態でもって入れ替わって。スピードが速くてですね。それぞれのチームで何パターンも考えますし」

打つ人以外の3人がボールを触っていないといけないルールですが、2人で持っているときは移動でき、打つ直前に3人目が触るので、どの方向に誰が打つのか、わたしには全く読めません。

辻貴雄 理事
「さすがに世界で戦う人たちは点を取って、なんぼになりますので」

伊東 アナ
「これは見ていても勉強になると思いました。やったことないのに、おもしろいです。こんなに作戦の幅が広いんですね。これは無理だ。レベルが高い」

四の五の言い訳をいっぱいしたのですが…

伊東 アナ
「一緒にやるのが怖い。どうしよう。やりたくない。怖い」

とはいえ、もう後には戻れません。チームで勝負に挑みます。

日本代表候補選手
「気持ちが大事。あとはボールを落とさなければ、このスポーツは成り立つので、ボールを落とさないように一生懸命走ってください」

伊東 アナ
「わかりました。もう、それだけやります」

ブルーチームのわたくし、ブラックチーム、グレーチーム、いざ、5点先取で勝負。試合が始まりました。わたしに何度も打つチャンスをくれるのですが、決めることはできません。相手に狙われ…。ナイスレシーブかと思いきや、場外でした。

どこを狙われるかわからないキンボール。スタッフも直撃されました。

点が高いブラックとグレーの激しい打ち合いに、わたしもなぜか巻き込まれ、右往左往…。しかし、ここでついにレシーブに成功!

さらに奇跡が…。初得点!

伊東 アナ
「今のあり? 何をやっているか、わかってないけど、みんな、喜んでいます」

そして、最後のナイススライディングには惜しみない拍手をいただきました。勝負には負けましたが、絆は間違いなく深まりました。

伊東 アナ
「たいへんなスポーツですね、スピーディーさに頭が追いついてこない。何もわからず、得点が入っていた。すぐに体験できるスポーツとしてはかなり楽しいスポーツでしたね」

日本代表経験のあるお2人にお話を聞きました。

日本代表2回 田中凌夢 さん
「1人で取るのもたいへんだったと思うんですが、みんなで協力し合ってボールを取ったり、みんなで協力してオフェンスを決めるっていう、みんなでやるってところが競技の一番の魅力かなと思います」

日本代表3回 鈴木くるみ さん
「ぎりぎりでボールをスライディングで取れたときって、もう自分も全体も盛り上がるので、とても楽しいです」

田中凌夢 さん
「チーム一丸となって金メダルを取ることが、ぼくの夢であり、目標であり、達成したいことです」

鈴木くるみ さん
「世界一取れたらいいなと思いますので、ぜひ応援よろしくお願いします」

田中凌夢 さん
「大谷翔平くんとは、ぼくら同級生なので、94年生まれなので、ちょっとそれも込みでがんばっていきたいなと」

― キンボールは、「共遊」をビジョンとして大切にしています。「楽しむ」「つながる」「尊重する」という意味で、チームワークが特に大切なスポーツでした。日本代表はすごかったですが、体験したいという方は、広島県内では五月が丘小学校で日曜日に練習しています。

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