佐世保・凱旋記念館「次世代に受け継ぐ」 建設100年を迎え講話会

建設から100年を迎える旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館

 国の登録有形文化財になっている長崎県佐世保市平瀬町の旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館(市民文化ホール)が今月、建設から100年を迎える。市民団体有志が7日、歩んだ歴史や価値を再認識しようと記念館で講話会を開き「100年後の次世代にも受け継いでいこう」と誓った。
 記念館は1923(大正12)年5月、第1次世界大戦での武勲をたたえて建てられた。佐世保鎮守府所属艦艇を中心とした「第二特務艦隊」は、17年から連合国軍の支援で地中海に派遣され、英国の兵員輸送船などを護衛。多数の戦死者を出しながら活動を完遂し、各国から「地中海の守護神」と称された。
 記念館は九州・沖縄や四国の市民らの寄付で建てられ、れんがと鉄筋コンクリート造りの2階建て。太平洋戦争後、米軍が接収したが77年に日本に返還された。市は82年に市民文化ホールとして整備した。日本遺産「佐世保鎮守府」の構成資産になっている。
 講話会は、市民団体佐世保大和会(梯剣司代表)が開いた。自衛隊OBでつくる県隊友会の江見雅博会長(69)と、「SASEBO軍港クルーズ」の案内役を務める吉川拓朗さん(45)が登壇した。

凱旋記念館の歴史や価値を再認識した講話会=佐世保市平瀬町

 江見会長は「防衛講座」の演題で電子戦の定義や歴史、任務の重要性を解説。吉川さんは第二特務艦隊の功績をひもとき「命を奪うためではなく、命を守るために派遣された艦隊の偉業と精神は今も受け継がれている。先人たちの歩みを知り、子どもたちに伝え、つなぐことが私たちの責務」と話した。 

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