被爆県から平和を願う 長崎日大高生が「キッズゲルニカ」制作 G7サミットに合わせ広島で展示へ

完成したキッズゲルニカと3年生の生徒ら=諫早市、長崎日大高

 長崎県諫早市の長崎日大高(池内一郎校長)生徒らが、被爆県から平和への願いを込めた巨大絵画「キッズゲルニカ」を制作した。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に合わせ広島市で開かれる企画展で展示される。
 反戦絵画として知られるピカソの「ゲルニカ」(縦3.5メートル、横7.8メートル)と同サイズの絵を子どもらが描く「キッズゲルニカ」は、1995年に始まった国際的プロジェクト。企画展に参加する長崎親善人形の会「瓊子の会」(山下昭子会長)のメンバーに同校関係者がいた縁で依頼し、デザイン美術科の1~3年生計11人が共同制作した。
 タイトルは「被爆地ナガサキ、私たちの長崎」。グループのリーダーを務めた3年生、溝田亜佳沙さん(17)らによると、アイデアを出し合う中で「平和とは誰の制限も受けず自由に好きな表現ができること」だと考えた。
 自由に表現できる今の時代にピカソが生きていたら、どんなゲルニカを描いていただろうと思いを巡らせながら、戦争の恐怖や苦しみ、悲しみを示したゲルニカを下地に、楽しげで生き生きとしたデザインにアレンジ。絵の具を塗ったレインコートを着てテント生地のキャンバスに横たわるなど体全体で表現し、配色も明るい色調に仕上げた。
 企画展は、ひろしま美術館(広島市中区)で16~28日に開催。同校や広島市、ブチャ(ウクライナ)、ゲルニカ・ルモ(スペイン)からの計5点を展示する。祖母が被爆者という溝田さんは「どう表現したら自分たちの思いが伝わるか、デザインを決めるまでに苦労した。ウクライナの人たちは今、笑うこともできないと思う。ウクライナや争いの中にいる世界の人たちが絵を楽しめる時が早く来てほしいという願いを込めた」と話した。
 作品は広島で展示された後、8月に同会が長崎市で開くキッズゲルニカ展で紹介する。

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