G7長崎保健相会合 テロ防止と要人の安全確保 関係機関は万全の準備 対策会議と訓練重ねる

県警の術科指導係(左側)から刺股の使用方法を学ぶJR九州長崎支社の職員ら=長崎市尾上町、JR九州長崎支社会議室

 13、14両日に長崎市で開催される先進7カ国(G7)保健相会合を控え、JR九州長崎支社と第7管区海上保安本部は9日、市内でそれぞれ不審者対応訓練や海上警備に関する会議を開いた。県警は会合の円滑な進行を確保しようと、テロ対策など厳戒態勢を敷いている。
 本県でのG7閣僚会合は初めて。会場は長崎市尾上町の出島メッセ長崎。陸の玄関口、JR長崎駅とつながっている。JR九州長崎支社は西九州新幹線各駅の職員らを対象に、不審者や不審物への対応に関する講習会を開いた。県警の術科指導係が講師となり、護身術や刺股の使用方法などを指導。職員らは駅構内や車両内で不審者に相対した際の構え方や間合い、腕を捕まれた時の振りほどき方などを約1時間訓練した。
 訓練を終え、長崎総合乗務センター主任車掌、金城福貴さんは「西九州新幹線が開業して初の国際的なイベント。乗務員として車両内の安全を守っていきたい」。会合当日は車両内の巡回頻度を増やし、運転室の施錠の徹底などテロ対策を強化していくという。県警鉄道警察隊の大嶋誠之隊長は「駅と会場がここまで近い大規模イベントは初めて。JR側とは常日ごろから連携を取ってやっており、その深度を深めていく」と述べた。
 長崎港や長崎空港(大村市)沿岸などの海上警備を担う第7管区海上保安本部は警備に当たる職員や幹部約90人を集め、G7海上警備・警護本部の全体会議を開催。宮本伸二本部長は「本会合を滞りなく終了させること、不審な事象を早期に察知することが重要。平和都市長崎でテロを必ず阻止する、要人の安全を死守するといった強い決意を持って任務に臨んでほしい」と訓示した。
 県警は13、14両日、会場近辺に私服警察官や制服警察官を配置し、不審な車両の侵入を阻止する。会合前後は市内全域で検問や職務質問なども実施する。
 国内では昨年7月、安倍晋三元首相が銃撃され、今年4月には岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた。海外では2000年以降、サミットを狙ったテロなどが相次いでいる。
 県警は化学兵器物質の散布や爆発物、ドローンなどによるテロに備えた訓練を重ね、装備を充実させている。行政機関や水道、電気などのライフラインを狙うサイバーテロも想定し、民間事業所と会合を開き、官民一体となって対応することを確認してきた。県警サミット対策課の車康之課長は「あらゆる攻撃に対応できるよう万全の態勢を整える」と気を引き締める。

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