「地元材の可能性を見せるショーケースに」 地元木材で建設の京都・京丹波町役場でフォーラム

木造建築や森林循環の意義について考えたフォーラム(京丹波町役場)

 地元産木材で建てられた京都府京丹波町役場で、建設事業の意義や需要が低迷する森林資源の活用について考えるフォーラムが開かれた。建築や林業に関わる約150人が全国から集まり、建材の利用を増やすことで森の健全な循環を再生する必要性を話し合った。

 2021年11月開庁の役場庁舎は原木の96%を町内産で賄い、全国の関係者から注目された。成果を共有しようと、木材調達を支援したNPO法人「サウンドウッズ」(兵庫県丹波市)がフォーラム「木のまちをつくりつづけるために」を主催した。

 設計チームの3人が講演し、香山建築研究所の松本洋平さんは、地元材を重厚な柱から繊細な内装まで使い、庁舎を「地元材の可能性を見せるショーケースのようにした」と語った。太い材の確保が難しかったため、平たい2枚の材をビス留めして1本の柱にする技術を開発したことも説明した。

 サウンドウッズの安田哲也代表理事は、庁舎の完成がゴールではなく「次の森づくりが課題」とし、建設のために木を伐採した土地に新たに苗を植え、順調に育つ様子を写真で見せた。

 パネルディスカッションでは町内の関係者も展望を語った。京丹波森林組合の竹内俊行理事は、庁舎建設が森林循環の起爆剤になったとし「流れが民間にも広がってほしい」と期待した。子どもが木に親しむ「木育」に詳しい谷文絵さんは、建築や玩具、家具など多面的な意味で「木に囲まれた生活ができる町になれば」と願った。

© 株式会社京都新聞社