鈴木長崎市長が被爆体験者と初面会 「国に強く働きかける」

体験者らから要望書を受け取る鈴木市長(右)=長崎市役所

 国の指定地域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」と支援者が10日、鈴木史朗長崎市長と初めて面会し、体験者の置かれた窮状と問題の早期解決を訴えた。鈴木市長は「皆さまの思いをしっかり受け止め、県と連携しながら国に強く働きかける」と述べた。
 体験者らは、原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」被害者について、広島の被害者が被爆者認定された一方で、長崎の被害者が認められていない問題や放射性微粒子による内部被ばくの影響を説明した。
 第2次全国被爆体験者協議会の岩永千代子代表(87)は、原爆投下後に降った灰で遊んだり、井戸水などの生水を生活用水で使っていたりした事例を、当事者が描いた絵などを見せて紹介。「爆心地から12キロ圏内で被爆した人は『被爆者』と県市と一緒に運動してきた。結論を示してほしい」と訴えた。多・長被爆体験者協議会の山内武会長(80)は「市長をはじめ、皆さまで力を合わせて国を説得してほしい。仲間がどんどん亡くなり、あと1年も待てない」と伝えた。
 問題の早期解決を求める要望書を受け取った鈴木市長は「切実な思いを聞かせてもらい、改めて一刻の猶予もないと痛感した」と応えた。

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