「広島の味」を知るG7首脳 超大国のリーダー ジョー・バイデンとは?

赤身と脂身のバランスが絶妙な神石高原町の「神石牛」。そして、特産のレモンを使った「広島レモンサイダー」。

来週に迫ったG7広島サミットに参加する首脳の中ですでに「広島の味」を堪能した首脳がいます。アメリカのジョー・バイデン大統領です。

去年の日米首脳会談で広島の味を知った大統領が、来週の広島サミットに参加します。きょうのテーマは、「広島の味」を知る超大国アメリカのリーダーの素顔に迫ります。

G7の首脳の顔ぶれです。この中に今回が初めてのサミット参加となる首脳がいます。イギリス初のアジア系首相、スナク首相。そして、イタリア初の女性首相、メロー二首相です。7人中、3人が40代の首脳なんです。

一方、最高齢がアメリカのバイデン大統領です。現在、80歳のバイデン大統領。29歳のときに史上最年少で上院議員に選出されました。この直後、バイデンさんは悲劇に見舞われます。交通事故で妻と娘を失ってしまったのです。現在の奥さん、ジルさんと再婚したのは1977年です。そしてオバマ政権では副大統領を務め、78歳のとき、就任時最高齢の大統領となりました。

ここで突然ですが、クイズです。バイデン大統領、ある食べ物が大好物です。さて、何だと思います?

正解は、アイスクリーム。

そんなバイデン大統領、政治家としてはどんな人物なのか、この方に聞いてみました。アメリカの政治を最前線で取材している、JNNワシントン支局の 樫元照幸 支局長です。

小林康秀 キャスター
「では、よろしくお願いします。バイデン大統領は性格的にどんな人なのでしょうか」

JNNワシントン支局 樫元照幸 支局長
「性格で思い浮かぶのはとにかく、まずおしゃべりだということですね。日本の総理大臣、前の菅さんとか、今の岸田さんとかがワシントン訪問して会談をしたときもギリギリまでしゃべる。それから時間を押して、しゃべることもあって、会談の時間がついつい長くなってしまうというふうなこともありました。同時に、おしゃべりであるからこそ、ちょっと失言が多いというふうにも言われているのがバイデン大統領ですね。演説のときに言い間違いがあったり、それから、ちょっと違うなというようなことを言ったりですね。そういうような発言があるたびに、やはり80歳という高齢で健康問題、だいじょうぶなのかというふうなことを批判されたりという場面もよくある、そういう大統領です」

小林康秀 キャスター
「政治家としては、どんなタイプなのでしょうか」

JNNワシントン支局 樫元照幸 支局長
「1972年に上院議員、かなり若くして20代でなりまして、それから50年以上、ワシントンでの政界におりますので、かなり長い間、政治家を務めていらっしゃいます。だから老獪というか、経験値がかなり高い大統領ではありますね。今は完全に与野党が分断していますけれども、昔は割と民主党と共和党でいろいろ一緒にやりましょうという機運もまだあった時代に上院議員をやっていらっしゃったので、割と共和党にもパイプがあって、そういう意味では、いわゆる議会工作というのは、かなり長けているというふうに言われています」

岸田総理との関係はどうなのでしょうか。ことし1月、ホワイトハウスで行われた日米首脳会談の際、注目すべきシーンがあったといいます。

JNNワシントン支局 樫元照幸 支局長
「(岸田総理を)出迎えをしてから、ホワイトハウスの執務室のオーバルオフィスまで30メートルぐらい歩く廊下があるのですが、そこでバイデン大統領が岸田総理の背中に手を回して、昔からの仲間のように背中をたたいて腕を回すシーンがあったのです。そのシーンを見ていて、日本政府の関係者、現場にいた方ですが、2人の関係がかなり良いところまで来ているのだなというふうに感想をおっしゃっていました。やはり会談の中でも、かなり2人の仲が良いような感じがよく分かったということで、2人の関係はすごく良いと思います」

大統領を、ホワイトハウスで支えているのが、妻のジルさんです。ファーストレディとして4月にはアメリカを訪れた岸田総理の妻・裕子さんをもてなしました。

JNNワシントン支局 樫元照幸 支局長
「ジルさんは、こちらでドクター・バイデンというふうに言われていまして、博士号を持っていらっしゃるんですね。教育学の博士号を持っていらっしゃって、英語の先生をやっていらっしゃったんですけれども、副大統領の夫人になって、しばらく教壇からは離れてたんですけれども、また、教壇に立って今も時折り、学校で教えているという、そういう方ですね。言われてみれば優しそうな学校の先生のような感じの柔らかい表情、特徴的な女性ですよね」

2016年、オバマ元大統領が、現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問しました。そのオバマ政権で副大統領を務めたバイデン大統領。核兵器に対するスタンスは?

JNNワシントン支局 樫元照幸 支局長
「もともと『核なき世界』を訴えたオバマ大統領の副大統領を務めたバイデンさんですので、軍縮では積極的だと見られていましたし、実際に政権を取ったときに、そういった動きが進むんじゃないかというふうな期待もありました。ただ、やはりロシアのウクライナ侵攻を受けて、なかなか理想と現実のギャップにはさまれているというのが今の状況です。むしろ今、ロシアのプーチン大統領が核の脅しをかけているような状況ですので、なかなか核についての態度を一歩引くわけにはいかないというふうな状況になっているということです」

ウクライナ侵攻が続く中での広島サミット。「核なき世界」への一歩となるのでしょうか。

JNNワシントン支局 樫元照幸 支局長
「もしロシアのウクライナ侵攻がなかったら、(今回は)かなり、これは大きな一歩になったと思います。というのも2016年にオバマ大統領が広島を訪問されて、それに続いての広島訪問は大きな意味があると思います。あのときもオバマ氏は、なかなか理想と現実の間にはさまれて、思ったことができないという苦しみの中で広島を訪問して、『核なき世界』をあらためて訴えたという形になるんですけれども、さらにバイデン大統領が、もう一歩踏み込んで『核なき世界』への道を打ち出してもらう、いい機会になるはずだったと思うんですけれども、やはりウクライナ侵攻を受けて、そこまで踏み込むような形の演説もなかなか期待できないというのが正直なところでしょうし、そういう意味では理想と現実にはさまれた、なかなか難しい訪問ということにもなると思います」

気になることがあります。アメリカ国内で債務問題をめぐる協議が与野党で平行線をたどっていて、バイデン大統領は交渉の状況によっては、サミットにオンラインで参加する可能性に言及しました。

なんとしても、この広島の地を踏んでもらいたいと思います。

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