JX金属上場へ 事業強化、設備投資や研究加速 茨城に拠点

創業の地にあるJX金属日立事業所=日立市白銀町

非鉄金属大手のJX金属(東京)は11日、株式上場に向けた準備を始めたと発表した。上場により、経営の独立性を高めて意思決定を迅速化。需要拡大が見込まれる半導体や情報通信材料の分野で、設備投資や研究開発を加速させるなど、事業強化を目指す。上場の時期や市場区分は未定としている。

同社は石油元売り最大手ENEOS(エネオス)ホールディングス(HD)の完全子会社。上場により、国内外で事業の周知や認知度向上を図るほか、先端素材分野での高い成長性を株式市場に示すことで、グループ全体の企業価値の向上を目指す。

上場に向けて、上場準備室、広報・IR部、財務部の計3部署を6月1日付で新設する。

同HDは、同日発表した2025年度までの中期経営計画でグループ体制の刷新を盛り込んだ。同社の上場後については、持分法適用の関連会社への移行を目指す。上場時期や保有株をどの程度売却するかなど詳細は未定。

人口減少や脱炭素で石油の需要が減少する中、同HDは、上場で得た資金を水素や合成燃料など、次世代エネルギー事業への投資に充て、脱炭素分野の競争力を高める狙い。

JX金属は、1905年に茨城県日立市で創業した日立鉱山が源流となる。2010年に新日鉱HDと新日本石油が統合して誕生したJXHDの統合により、グループに入った。半導体回路の形成に使う金属薄膜材料は世界で約6割のシェアを占める。

現在、日立市や北茨城市など県内6カ所に生産拠点を構えるほか、同県ひたちなか市新光町に「ひたちなか新工場」(仮称)を建設しており、先端素材分野では、過去最大規模となる2千億円超を投資する。26年度の本格稼働を目指し、同分野での事業拡大を目指している。

中期経営計画では、先端素材でグローバル企業を目指す施策を盛り込んだ。JX金属の担当者は「ひたちなか新工場をはじめ、先端素材の生産能力増強を進める」と話した。

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