デジタルマップ公開 「黒い雨」降雨地点を示す 長崎県保険医協会、被爆体験者支援に活用

デジタルマップについて報告する本田会長=長崎市興善町、市立図書館新興善メモリアルホール

 国の指定地域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」の支援に取り組む長崎県保険医協会は11日、米国や県市が過去に調査した「黒い雨」降雨地点などを示したデジタルマップを公開した。本田孝也会長は「米国や県市の客観性がある資料を基に作成した。(被爆体験者の)被爆者認定へ活用したい」と期待を寄せている。
 原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を巡っては1月、降雨を認めた県専門家会議の報告書の内容を「客観的記録がない」として国が否定。これを受け、同協会は▽米原爆傷害調査委員会(ABCC)が1950年代に実施した二つの調査で「雨」に遭ったと回答があった地点▽県市が実施した「原子爆弾被爆未指定地域証言調査」(99年度)の129人の降雨証言と地点-をオンラインマップ上にアイコンで登録。これを、米マンハッタン管区原爆調査団が45年9~10月、県内各地で測定した放射線量と地点を示したマップに反映させ、三つのデータを同時に見ることができるようにした。
 マップを通して、放射線の検出地点と降雨証言があった地点が重なっていることが分かり、長崎原爆の降雨や放射線の影響を視覚的に浮かび上がらせた。
 11日、開かれた長崎被爆地域拡大協議会の会合で、マップ内容を報告した本田会長は「長崎原爆の放射線の影響を全国の人に広く知ってほしい」と語った。
 マップは同協会のホームページで公開。登録した降雨地点は当時の地図と当時を知る人の聞き取りなどを基に落とし込んだが、地名が分からない部分もあるという。本田会長は「気付いた情報があれば協会まで寄せて」と呼びかけている。

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