三村青森県知事 弘前大医学部新入生と最後の懇談会/地域医療の魅力、熱く訴え

「医療現場に出て、命に真っすぐ向き合って」と学生に語りかける三村知事(中央)

 三村申吾知事が弘前大学医学部の新入生に卒業後の青森県内就業を呼びかける懇談会が12日、同学部講堂で開かれた。知事就任以来20年近く続けており、今回が退任前の最後の開催。集まった学生約110人に地域医療の魅力を熱く訴えた。

 三村知事は、青森県の臨床研修医はさまざまな症例を経験できることや、研修医の給与が都内より高いこと、医師が働きやすい勤務環境の整備に努めていることなどをPRした。思いがあふれて聞き取れないほど早口になり、笑いを誘う場面も。最後に「医療現場を大切にする医師になってほしい。命に真っすぐ向き合って」と呼びかけた。

 医師不足の解消は三村県政の主要テーマの一つ。2020年の人口10万人当たり医師数は212.5人で、16年前に比べ48.5人増加した。三村知事は終了後の取材に「県内の医師を増やしていく方向性をつくれた」と振り返り、「今求められている高度遠隔医療のシステム構築をやってみたかった」とも語った。

 弘大の廣田和美医学部長は「県のトップ自ら(医療現場の問題に)向き合う姿を見せてくれるので、学生も安心できる。こんな知事はどこにもいない」と感謝していた。

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