あふれ出る「蚕愛」、魅力伝えたい 20、21日に養蚕など体験できるフェス 真岡の飯村さん

養蚕の魅力を伝える「桑フェス」を開く飯村さん

 【真岡】京泉(きょうせん)、飯村昌(いいむらあき)さん(31)は、市内では例がないとみられる養蚕に取り組んでいる。あふれ出る「蚕愛」を原動力に、衰退が進む養蚕の活性化を目指し、教育的、文化的な意義や魅力を広く伝えたいと情熱を傾ける。繭の出荷を始めて4年目。試行錯誤して軌道に乗り始め、20、21の両日には、養蚕や桑の葉染めの体験などができる「桑フェス」を開催する。

 飯村さんは川崎市出身で、大学時代に染織や織物を学んだ。京都府にある絹織物の織元「塩野屋」が取り組む養蚕復活の活動に共感し、2015年から1年半、桑栽培や養蚕を学んだ。

 17年、祖母輝子(てるこ)さん(98)の介護などで川崎市から真岡市に通ううち、輝子さんの家や土地を守りながら「自分の桑畑を持ちたい」という憧れを実現する挑戦を決めた。

 農薬を使わない栽培法で桑を育て、黄色の繭を作る特殊な品種の蚕を中心に飼い、20年から繭玉を塩野屋に納めている。現在、2千平方メートルに桑約800本、1回で5千頭の蚕を飼い、12キロほどの量の繭が年4回取れるようになった。

 「蚕と共にある人生を歩みたい。蚕の全てがいとおしい」と話す。絹は天然繊維としての価値だけでなく医療や美容などの分野でも注目されているという。桑茶や桑の葉染め、和紙作りといった「養蚕にまつわる全てを無駄にせず活用し、魅力や可能性を伝えたい」と笑顔を見せる。

 規模の拡大以上に、日本の産業発展を支えた絹の文化や伝統、養蚕の恩恵、生き物の一生や命を学ぶ教育的な意義を子どもたちに伝えていくことも目標だ。

 桑フェスは、天然繊維と草木染による衣服を手がけたり、農薬を使わない農産物などを取り扱ったりしている東京都や横浜市の知人らと開催する。桑の葉取りや養蚕、絹糸紡ぎ体験などの他、各種店舗が集まったマルシェも展開する。

 連日参加、1日参加で参加費が異なり、4800~9800円。

 (問)飯村さん090.9384.7828。

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