認知症の妻介護、隠さないことで近所から支援 福井で男性が講演「周りに伝えることが大事」

若年性アルツハイマー病の妻を介護している男性が経験を語った講演会=5月13日、福井県国際交流会館

 若年性アルツハイマー病の妻を長年介護していた男性の講演会が5月13日、福井県国際交流会館(福井市)で開かれた。病気を周囲に隠さなかったことで多くの支援を得られたとし、「介護は絶対に1人ではできない。認知症は恥ずかしいことではなく、周りに伝えることが大事」と呼びかけた。

 男性は、公益社団法人「認知症の人と家族の会」神奈川県支部世話人の三橋良博さん(70)=神奈川県横浜市。妻(70)は52歳の時に若年性アルツハイマー病と診断された。

 仕事を続けながら介護生活が始まった三橋さんは、町内会の集まりなどで妻の認知症を打ち明け、「もし何かあったら見守ってください」とお願いした。妻が徘徊したり、公園のベンチに1人で座っていたりした時に、見かけた近所の人が連絡をくれたり、家に連れてきてくれたりするようになったという。

 講演では「高齢者だとおかしいなと思っても、若年性の場合は周りの人は特に何とも思わない。(認知症を)伝えたことで見守ってくれるようになった」と振り返った。「認知症になったら何も分からなくなるわけではない。豊かな感情、優しい気持ち、感謝する心はしっかりと残っている」と強調し、周囲の人が病気を正しく理解し接することが大切だと訴えていた。

 講演会は認知症の人と家族の会福井県支部が開催。オンラインを含めて約60人が参加した。

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