信楽列車事故32年で追悼法要 滋賀・甲賀、遺族3人参列 鉄道トップらが誓い

信楽高原鉄道の列車が脇を走る事故現場近くの慰霊碑前で営まれた追悼法要(14日午前10時37分、甲賀市信楽町黄瀬)

 信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の列車が正面衝突し、42人が犠牲となった事故から32年となった14日、犠牲者の追悼法要が滋賀県甲賀市信楽町黄瀬の慰霊碑前で営まれた。遺族3人と鉄道、自治体関係者ら30人が参列し、改めて悲劇を繰り返さないことを誓った。

 仏教では三十三回忌で、地方や宗派によっては「弔い上げ」となる年にあたる。新型コロナウイルス感染症が「5類」になったのを受け、コロナ禍前の2019年と同様の形で行った。

 法要は雨が降る中、午前10時半から始まり、参列者全員の黙とう後、遺族や両社社長、三日月大造滋賀県知事らが献花した。僧侶の読経が流れる中、事故発生時刻に近い同37分に警笛を鳴らしてSKRの列車が通り過ぎた。

 追悼の言葉で、JR西の長谷川一明社長が「犠牲者や負傷者、遺族におわびする。重大事故を二度と発生させないよう安全最優先の風土の構築を進める」、SKRの正木仙治郎社長は「安心し信頼できる鉄道を築くのが我々の責務で、事故に遭った方々の願いと痛感している」と安全運行への決意を述べた。

 事故は、1991年5月14日に発生。SKRの普通列車と、同町での「世界陶芸祭」の開催に合わせてSKRの線路に乗り入れたJR西の臨時列車が正面衝突し、乗客ら42人が死亡、614人が負傷した。

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