京セラ、個人用の携帯端末ビジネス撤退 2025年3月までに販売終了へ

京セラが2021年に国内で初めて発売した5G対応スマホ「トルク5G」

 京セラの谷本秀夫社長は15日、個人向け携帯電話端末の販売から撤退することを明らかにした。2025年3月までに個人販売を終了する見通し。スマートフォンの高機能化で端末価格が上昇し、買い替え期間が延びていることが一因といい、今後は企業など法人向けの携帯電話販売に経営資源をシフトする。

 谷本社長は15日に開いた2023年3月期連結決算のオンライン記者会見で「消費者向け端末から撤退する方向で進める」と述べ、今後は「BtoB(企業向け)」の端末販売と保守・修繕などアフターサービスに軸足を置くとした。

 京セラは、1989年に第1号の携帯電話端末を関西セルラー電話(現KDDI)向けに発売した。93年には世界初となるリチウムイオン電池の搭載端末を投入し、その後もカラーテレビ電話対応PHS、2画面のスマホなど革新的な機種を生み出してきた。

 ただ、2007年に米アップルが「iPhone」を発表し、スマホ時代の幕が開けると、中国や韓国など新興国メーカーも次々に参入し、価格競争が激化した。京セラは衝撃に強く、防水・防じんなどにも優れた高耐久スマホやシニア、子ども向けに活路を見いだし、機能を差異化することで生き残りを図ってきたが、個人向けビジネスで収益を伸ばすのは難しいと判断した。

 国内ではこの間、パナソニック、東芝、NECカシオモバイルなどが個人用スマホ事業から撤退。シャープは台湾資本となり、富士通の携帯事業は投資ファンド傘下となった。自社開発の高価格スマホ「バルミューダフォン」を販売してきた家電メーカーのバルミューダも今月、スマホ事業の撤退を発表した。

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