人間国宝、勝城蒼鳳さん偲ぶ 7月に初の単独作品展 大田原市

勝城蒼鳳さん(大田原市提供)

 【大田原】市は15日、1月に88歳で死去した重要無形文化財保持者(人間国宝)で名誉市民の竹工芸家勝城蒼鳳(かつしろそうほう)さんをしのぶ特別展示会を、7月に市那須与一(なすのよいち)伝承館で開催すると発表した。市によると、勝城さんの作品単独の展示会は初めて。市所蔵の作品4点をはじめ、制作で使われた道具や愛用品も展示する。

 篠山充(しのやまみつる)市教育長が同日、定例記者会見で説明した。

 勝城さんは1934年、高林村(現那須塩原市)に生まれ、15歳で竹細工師菊地義伊(きくちよしい)さんに入門し、竹細工の技術を習得。その後、竹工芸家八木澤啓造(やぎさわけいぞう)さんに師事し、68年の日本伝統工芸展初入選を機に「蒼鳳」の号を名乗るようになった。自然をモチーフに次々と作品を発表し、98年に紫綬褒章受章、2005年には重要無形文化財「竹工芸」保持者に認定された。

 展示するのは、雨上がりの田んぼに朝日が差し、水蒸気が揺れて昇る様子を表現した「かげろう」と「慈雨(じう)」「初夏(はつなつ)の風」「初風(はつかぜ)」など市が所有する4点のほか、勝城さんの家族の協力の下、数点を予定。制作で使っていた道具やノート、愛用していたカメラなども展示し、制作活動の一端が垣間見える内容となる。

 市の担当者は「自然をモチーフにした力強い作品を見に来てほしい」と話している。

 開催期間は7月1~23日。午前9時~午後5時(初日は午後1時)。月曜休館。(問)市文化振興課0287.23.3129。

市所蔵の作品「かげろう」(大田原市提供)

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