公平な医療体制整備を G7長崎保健相会合が閉幕

平和祈念像前で献花に臨む加藤厚労相(右から6人目)ら各国代表ら=長崎市松山町、平和公園

 長崎県長崎市で開かれた先進7カ国(G7)保健相会合は14日、ワクチンや治療薬を途上国にも公平に分配する仕組みづくりや、誰もが公平に医療を受けられる体制整備に向けた支援などを盛り込んだG7長崎保健大臣宣言(共同声明)を採択し、閉幕した。出席閣僚らは市内の平和公園も訪れ、平和祈念像に献花した。
 議長を務めた加藤勝信厚生労働相は閉幕後の記者会見で、「コロナという共通の健康危機を乗り越え、より健康な未来に向けて新たな協働の方向性を示すことができた」と強調。本県開催の意義について「公衆衛生分野の発展をリードしてきた地域で国際保健の議論を行うのにふさわしい。(長崎大熱帯医学研究所などの成果展示などもあり)充実した会合につながった」と述べた。

G7保健相会合が採択した共同声明のポイント

 宣言では、将来の感染症危機に備え、ワクチンや治療薬の製造・流通を円滑に行えるよう、国際機関などとの連携を強化していくことなどを明記。新型コロナウイルスの後遺症の実態解明に取り組むことでも一致した。誰もが公平に医療を受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の達成に向けた行動計画も合意。会合の成果は19日に開幕するG7首脳会議(広島サミット)につなげる。
 閉幕後には、官民でつくるG7長崎保健大臣会合推進協議会(会長・大石賢吾知事)が閣僚らを招いた昼食会を開催。県産のクエや長崎和牛、ビワなどを使った料理でもてなし、長崎くんちで奉納される演(だ)し物の一つ「鯱(しゃち)太鼓」(長崎市銀屋町)も披露された。
 G7閣僚会合の本県開催は初めて。同市尾上町の出島メッセ長崎で13日に始まり、G7と欧州連合(EU)、招待国のインド、インドネシア、ベトナムの保健相らが出席した。

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