特攻艇「震洋」の隊員慰霊 川棚・殉国の碑 地元住民らが英霊しのぶ

隊員3511人の名前が刻まれた碑に献花する遺族=川棚町、特攻殉国の碑

 第2次世界大戦中、敵艦船に体当たり攻撃をした旧日本海軍の水上特攻艇「震洋」隊員の慰霊祭が14日、長崎県東彼川棚町新谷郷の「特攻殉国の碑」前であり、地元住民らが英霊をしのんだ。
 震洋は全長5メートル程度のベニヤ板製の船に爆薬を積み、敵艦に体当たりした。大戦末期に同郷に震洋の訓練所が開設された縁で、1967年に元隊員らが慰霊碑を建立。3511人を弔っている。
 慰霊祭は新谷郷主催で57回目。郷総代の寺井理治さん(76)は「悲惨な戦争を繰り返さぬよう、この碑を守っていくのが郷の務め。慰霊と顕彰を続ける」と述べ、孫、ひ孫世代の遺族約20人を含む約130人の参列者が黙とうをささげ、献花した。
 佐賀県みやき町の山下富美江さん(85)は台湾の高雄で戦死した親戚の名が碑に刻んであることを数年前に確認。以来足を運んでいる。「生まれたばかりのおじさんの子が、立派に育っていることを手を合わせ報告した。生きていたら大変喜んだだろうに」と話した。

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