待機児童 通年でゼロ初めて達成 保育所新設、保育士確保も 宇都宮

 栃木県宇都宮市は15日までに、2022年度の保育所などの待機児童数が年間を通してゼロだったと発表した。市では4月1日時点の待機児童数は17年からゼロを継続しているが、1年通して達成するのは初めて。保育所の新設や保育士の確保策を展開し、入所枠があふれる傾向にあった年度後半も受け入れできる体制を確保した。

 市は20年に策定した第2期子ども・子育て支援事業計画(20~24年)で、「年間を通した待機児童ゼロの継続的な実現」を掲げた。共働き世帯の増加などで保育ニーズが高くなっている0~2歳児を受け入れる体制を確立することを柱に、施設整備や保育士の確保などに取り組んできた。

 市は施設整備として、既存施設を活用した認定こども園への移行、増改築や分園に加え、私立保育所の新設を進めた。18年度末に148だった施設数は、22年度末には168まで増えた。同年度は保育所2カ所の新設を含む計12カ所が開所し、受け入れ枠が639人分増加した。これにより、あふれる傾向にあった年度後半も待機児童が生じなかった。

 保育士の確保策では、県と16年に開設した「とちぎ保育士・保育所支援センター」を活用し、潜在保育士の復職を後押ししてきた。22年度から市は新たに、新規採用の保育士の家賃支援や保育園が派遣保育士を活用する際の費用補助を実施している。

 市保育課の江原哲(えはらさとし)課長補佐は「今後は発達支援や医療的ケアが必要な子どもを保護者が安心して預けられるよう、保育の質をより向上させていきたい」と話した。

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