国重要有形民俗文化財、年度内指定目指す 天命鋳物伝承保存会が総会 佐野

国指定に向け、協力を呼びかける若林代表

 【佐野】市民団体「天命鋳物伝承保存会」が13日、市内で総会を開き、伝統の技を支えてきた貴重な生産用具について、国重要有形民俗文化財への年度内指定を目指し、さらに取り組みを強めることなどを決めた。

 天明鋳物は今年1月、念願の商標登録を果たしている。同会の若林洋一(わかばやしよういち)代表(91)は「活動の両輪のもう一つ、国指定に向けて重要な時期。目標達成のために一層の協力をお願いしたい」などと呼びかけた。

 また本年度事業として、国指定を目指す生産用具溶解設備の「大ごしきとたたら板」についての情報発信も確認した。

 総会後には「いま一度、天明釜を考えてみる」をテーマに、天明鋳物の研究者で浅草寺職員平竜次(たいらりゅうじ)さん(32)の講演が行われた。

 平さんは「謎に包まれた天明釜」などと述べ、その神秘性の一方で、俗説によらない実証的な研究が不足している実情を指摘した。少ないながらも現存する資料や関係が深い茶道史などからアプローチし、「歴史の問題や制作時期の区分など、現状で何が言えるのかを模索することが必要」と訴えた。

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