52歳男性、なぜ徒歩で日本縦断? 訴える「おひとりさまを許せる社会」とは

日本を徒歩で縦断しながら身寄りのない人を巡る問題を訴えている須貝さん(舞鶴市北吸)

 「おひとりさまを許せる社会に」と訴えながら徒歩で日本を縦断している男性が16日、京都府舞鶴市に入った。4月に沖縄県を出発し、日本海側を歩いて北海道の宗谷岬を目指している。

 男性はNPO法人「身寄りなし問題研究会」(新潟市)代表の須貝秀昭さん(52)。地域包括支援センターに勤めていた2017年、身寄りがないために賃貸住宅の契約などを断られ困っている高齢者に多く接したことを契機に研究会を設立。研究会は相談会や住居支援も行うようになり、今年1月にはNPO法人化した。福祉従事者など約150人の会員を擁する。

 須貝さんによると、身寄りのない人がよく困難に直面するのは住居に加え、医療と介護施設だという。いずれも契約や施術の際に家族による身元保証が求められることが多い。

 核家族化の進展や地縁血縁の希薄化から、須貝さんは「家族がいる前提の制度はもはや時代に合わない」と指摘。地域包括支援センターを退職し、NPO法人代表を専業とした4月から徒歩で日本を巡り、各地で報道機関の取材に応じるなど発信を続けている。

 京都府内には14日に入り、京丹後市や宮津市を経由して舞鶴市に至った。ゴールは7月上旬の予定で、須貝さんは「各地の人々に問題を知ってもらって活動のネットワークを広げたい」と意気込んでいる。

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