【リニア】工事めぐり山梨県と“論戦”続く 山梨側で出た水は山梨のもの?静岡のもの?

リニア新幹線の工事をめぐり、山梨側の県境付近での「ボーリング調査」を実施しないよう求めている静岡県の対応について、山梨県知事は5月16日の会見でも苦言を呈し「科学的根拠」を示すよう求めた。

山梨県側で進む「ボーリング調査」をめぐっては、JR東海が県境から「300メートル以内」の区間を「慎重に掘り進める」とした上で、流れ出た水の量が基準を超えた場合は中止すると説明してい た。静岡県は先週、流出した水を戻す方策などについて合意するまでは、この区間の調査を行わないよう求める文書をJR東海に送った。この対応について山梨県の長崎知事は、山梨側での調査に対し静岡県が意見することに「不快感」を示していた。こうした中、15日 川勝知事は、山梨県とは連携していきたいと話し、リニア問題について議論する静岡県の専門部会への「参加」を促した。

(静岡県 川勝知事)

「オブザーバーとしてでも専門部会に来ていただければありがたい」「文書の中身は、専門部会、有識者会議で議論していることを踏まえて言っているので、ボーリング調査は山梨県内で行われているので、山梨県の方がお越しいただくのは大歓迎」

こうした静岡県の対応について、山梨県知事は16日の会見でも疑問を呈した。

(山梨県 長崎知事)

「事の本質は行政権の所在の問題が一番大きな問題」「山梨県内における民間活動に対して行使される行政権の主体は誰かというのが本質的な問題」

山梨側でのボーリング調査について静岡県は、県境付近にある「もろい地質」が山梨側とつながっていて、穴を掘り進めれば「静岡の水が流れ出る可能性がある」と懸念を示している。

この点について山梨県知事は「科学的根拠」を示すよう求めた。

(山梨県 長崎知事)

「リクエストがある場合は、我々に科学的根拠と合わせて、しかるべき要請をしていただければ、まじめに向き合います」「我々が(静岡県の)専門部会に参加するのとは筋がちがう、静岡県がファクト(事実)とともにお示しいただくのが出発点」

山梨県内の調査で流れ出た水は、山梨のものなのか静岡のものなのか?意見が対立するこの問題について15日、認識を問われた川勝知事は…。

Q:山梨県からでる水は静岡県の水?

(静岡県 川勝知事)

「わかりません」「それを検証する方法があると専門部会で出た、それをJR東海も検証するという方向で回答されたと聞いている、私が答えるべきではない」

JR東海の丹羽社長は、16日の会見で改めて「どちらの水なのか特定するのは難し」いとの認識を示した。

(JR東海 丹羽俊介 社長)

「県境付近の山の中の水については、山梨県内の地下水なのか静岡県内の地下水なのか、特定するのは難しいと考えている」「県の専門部会で提案があった件については、県を通じて内容を確認している」「引き継き何ができるかを検討していくつもり」

ボーリング調査をめぐる議論は長引く見込みで、静岡工区の着工への道筋はいまだ見えていない。

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