「男でも女でもなく…」友人の一言が救いに 神戸で初のレインボーフェスタ、性的少数者の「らしさ」後押し

2人の出会いを語る「性別逆転夫婦」のあゆむさん(右から2人目)とみゆさん(右から3人目)=神戸市中央区小野浜町

 LGBTなど性的少数者の存在を知ってもらうイベント「神戸レインボーフェスタ」が、神戸市中央区小野浜町のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で初めて開かれた。子どもから大人まで約600人が訪れる盛況ぶりで、「ありのままの自分を生きてほしい」とのメッセージが込められた当事者の歌や語りに耳を傾けた。(名倉あかり)

 性的少数者専門の結婚相談所「ベストリアン」(神戸市)と当事者らの交流会を開催するコミュニティー「RISE」が主催。飲食店やレインボーグッズの販売、ネイル体験など30のブースが集まった。

 ステージのトップバッターは全国で講演活動を行う彩莉(あいり)さん(26)=大阪府門真市。女性の体で生まれたことに違和感を持ったが、手術をせず、生まれたままの体や名前で生きることを決めた。現在の性自認は「男性85%、女性15%くらい」という。

 性自認に悩んでいた高校生の時、「男でもなく女でもなく彩莉が好き」という友人の一言に救われた。「『男や女らしく』の言葉にとらわれていたことに気付き、少し堂々と生きていけるようになった」と振り返り、会場から温かな拍手が送られた。

 続いて、互いにトランスジェンダーの「性別逆転夫婦」で、神戸出身の元男性のみゆさん(27)、元女性のあゆむさん(31)夫婦が登場。「イベントでナンパされた」という2人の出会いや戸籍を変更しあって結婚したことなどを語った。

 性別が男女どちらにも属さない「Xジェンダー」の来場者(25)=神戸市北区=は「地元で開催してくれてうれしい。自分らしく生きようと思えた」と笑顔。11月に島根県でレインボーパレードを計画しているXジェンダーの佐藤みどりさん(34)=松江市=は「当事者だけでなく、幅広い層が楽しんでいるのを見ていい刺激になった」と話した。

 主催者の一人、ベストリアンの田辺義宗さん(36)は「今日の光景を見て『一人じゃない』と実感してもらえたのでは」とほっとした表情だった。

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