熱中症にご用心

 保護者も応援に来られない「無観客」、午前中だけの開催、あるいは完全に中止…。新型コロナによって学校の運動会にあれこれ影響が出たのは、過去3年間のちょうど今頃だった▲かつて運動会といえば秋空の下の催しだったが、最近では5月頃の開催が当たり前になった。秋だと、ほかの行事も集中する。受験を控えた生徒は勉強に差し支える。好天だけでなく、台風の季節でもある。秋の運動会には“難点”もあるらしい▲もう一つ挙げると、近年の9月、10月には残暑が厳しい日も多い。熱中症を避けようと春に移した事情もあるという。なるほど、と思いはするが、昨今の列島の様子を見ると、5月の開催が暑さからの逃げ道になるかといえば、必ずしもそうではない▲きのう正午過ぎ、福岡県久留米市の中学校で、生徒7人が熱中症の疑いで病院に運ばれた。体育祭の練習中だったという。その時の気温は29度に近く、6月下旬並みだった▲本県でも島原市で30度以上の真夏日になり、10地点で今年最高を記録した。年代を問わず、熱中症にはどうかご用心を。もうすぐ運動会という学校も多い▲〈空間を縦横に切り風薫る〉長谷川櫂(かい)。「風薫る」は、若葉を吹き渡る爽やかな風を表している。この季節によく似合うのは薫風(くんぷう)であり、“熱風”には早すぎる。(徹)

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