珠洲市で最大震度6強を観測した地震に伴って発生した災害ごみの仮置き場に、大量の家電製品が持ち込まれている。特に多いのは年代物のブラウン管テレビや冷蔵庫、洗濯機などで、市民からは「本当に地震で発生したごみなのか」「地震に便乗しているのではないか」との声も。市は「市民を信じるしかない」と運び込まれたごみを原則受け入れているが、災害ごみと一般ごみを区別するよう再度周知する。
災害ごみの仮置き場は9日、蛸島町の市営野球場駐車場に設けられた。運び込めるのは、地震によって発生した大きくて大量のごみで、家電リサイクル製品をはじめ、可燃粗大ごみ、廃木材、ガラス・陶磁器のかけら、コンクリート、瓦、壁材、金属くずの計8種類となる。
仮置き場の一角には、比較的新しい液晶・プラズマ式のテレビのほか、昭和や平成初期に製造されたブラウン管テレビが大量に置かれている。「1980年製」と記したシールが貼られたり、回して変えるチャンネルを備えたりしたテレビなどの年代物だ。
家電リサイクル法では、ブラウン管テレビのリサイクルの処理費用は大きさやメーカーによって異なり、相場は3千~5千円とされる。
18日午前、近隣住民に頼まれて地震で壊れたテレビ3台を運び込んだ男性(73)=正院町正院=は山積みのテレビを見て「地震に便乗して捨てとる人もおるかもしれん」と話し、県外から野々江町の実家の片付けに来ている60代男性は「地震に関係ないごみは捨てないよう節度を持ちたい」と語った。
現場を管理、運営する石川県産業資源循環協会の岡野昭久事務局長は「持ち込まれた物は全て災害ごみとして処理している」とした上で、市に対しては災害ごみの厳密な区別を住民に指導するよう求めた。
市環境建設課の大宮準司課長は、仮置き場に持ち込まれたごみが地震によるものか厳密に区別できないとし、「運んで来た人を信じるしかない。災害ごみだけを持ち込むよう周知を徹底したい」と話した。