「団子転がし」で死者弔う山頂の古刹、逆境を機に後世へ 築400年の本堂改修費、CFで寄付呼びかけ

築400年の本堂と岡崎哲英住職=先山千光寺

 兵庫県洲本市上内膳の古刹(こさつ)先山千光寺は、築約400年の本堂を改修するため、インターネットのクラウドファンディング(CF)で寄付を呼びかけている。1995年の阪神・淡路大震災や幾度の台風にも倒れず耐えたが、この100年ほど大きな補強はしておらず、老朽化が深刻だ。重機が入りにくい山頂に立つことから改修費はかさむといい、同寺は「寺を後世に残したい」と協力を求めている。(荻野俊太郎)

 同寺は平安時代の901年の創建とされ、山の頂上から団子を転がし、死者を供養する淡路島独特の風習「団子転がし」を行う寺として知られる。「淡路四国八十八ケ所霊場」「淡路島西国三十三ケ所霊場」「淡路島十三仏霊場」のいずれもで第一番札所となっている。

 本堂は1622年に徳島藩祖の蜂須賀家政が再建したとされる。前回、大規模改修を行ったのは約100年前。近年は軒下の板が傷んでいる上、建物はゆがんでおり、老朽化が激しい。

 同寺は改修が必要と考えたが、課題は費用。本堂は急斜面を階段で登る山頂にあるため重機を上げることが難しく、通常工事より1.5倍ほどになることが分かった。

 また、同寺は檀家(だんか)を持たず、祈祷(きとう)料などで収入を得る信者寺だが、新型コロナウイルス禍で参拝者が減るなどして資金が不足。文化財ではないため、行政からの支援もない。少しでも足しになればと、岡崎哲英住職(35)と同寺の護持会は4月10日にCFを始めた。

 同寺が見積もった改修費は約2千万円。第1目標の500万円は達成し、現在は1千万円を目指す。

 岡崎住職は「島内外の人に励ましの言葉をいただいている。CFをきっかけに寺を広く知ってもらい、残していければ」と願う。

 支援者には、寄付額に応じて限定の御朱印や境内の木で作ったお守りを用意。今年11月に予定する本堂再建400周年記念法要への招待などもある。

 希望者はCFサイト「レディーフォー」か、同寺境内などに置いてある申込用紙で。千光寺TEL0799.22.0281

© 株式会社神戸新聞社