教員とプロ選手「二刀流」 呉羽高バスケ・喜入監督

選手と監督の両面で奮闘する喜入さん=呉羽高

  ●3人制バスケ、普及へチームも創設

 呉羽高教諭で男女バスケットボール部監督を務める喜入大地さん(28)が3人制バスケ「3x3(スリーエックススリー)」のプロ選手との「二刀流」で奮闘中だ。部の指揮官として高校生を指導しながら、現役プレーヤーとして日本の頂点を目指す。3人制バスケを普及させるため、チームも創設。異色の先生は「生徒や応援してくれる家族に、全部を頑張る姿を見せたい」と意気込んでいる。

 3x3はFIBA(国際バスケットボール連盟)がルールを統一した競技で、日本では国内最高峰リーグ「3x3.EXE PREMIER(スリーエックススリー・ドット・エグゼ・プレミア)」や日本選手権が展開されている。

 喜入さんは富山中部高を卒業し、筑波大に進学。同大大学院時代に茨城の3x3チームで活動した。教員になるのが夢で、就職を機に選手を退いたが、指導現場で再び心に火が付いた。

 最初にしらとり支援学校に配属され、高校時代の国体チームの恩師である松井昭博さんが監督を務めていた富山工高で指導法を学んだ。その年、富山工高は全国切符をつかみ「高校生を見ていたら自分もプレーしたくなった。すごく刺激を受けた」と3x3のプロチームに自身を売り込んだ。

 呉羽高に赴任して2年目の昨年、同校バスケ部は創部40年の節目に女子が初の県大会ベスト4入りした。自身は「ゼッスリーイシカワエグゼ」(金沢市)に加入し、主力として活躍。「監督と選手」で力を発揮した。

  ●部活後に全国移動

 プロリーグは土日に全国各地で組まれる。そのため、金曜の部活動後に移動したり、試合後に終電で帰ってきたり。試合はインターネット配信され、部員も観戦。中嶋里咲子選手(2年)は「監督がプロ選手というのはいい環境。選手の目線で一緒に考え、教えてくれる。尊敬しています」と笑みをこぼした。

  ●日本選手権でけが

 実は2月、日本選手権の試合中に左膝前十字靱(じん)帯(たい)を断裂し、全治8カ月と診断された。今季は20日にプロリーグが開幕し9月まで行われるが、コートに立つのは絶望的。けがをした直後、部員には「目の前の一瞬一瞬を大切にしてほしい」と呼び掛けた。説得力は十分だった。出場はできないが遠征に同行してチームを支え、競技普及のイベントにも参加する。

 2月には3x3のチームを作った。女子の小中高生10人が所属し、週に一度、富山駅近くの3x3専用コートで練習する。「僕がプレーしていた方が憧れを持てるだろうし、競技の面白さをじかに伝えられる。自分の背中で、熱く生きることを感じてほしい」と意欲たっぷりに語った。

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