コロナで中止「幻の甲子園」敦賀気比チーム挑む 11月末から兵庫で交流試合、当時のメンバー心待ち

記者発表会でポーズを取る宮階宣全さん(右から2人目)とプロジェクト発起人の大武優斗さん(同3人目)古田敦也さん=5月18日、東京都の武蔵野大学(武蔵野大学提供)

 2020年夏、新型コロナウイルスの影響で戦後初の中止となった第102回全国高校野球選手権大会。当時の高校球児たちが幻となった「夏の甲子園」を実現させようと、今年11、12月に兵庫県内で交流試合を行い、阪神甲子園球場でセレモニーに臨む。福井県からは同年の県高野連独自大会を制した敦賀気比高のOBチームが出場する。メンバーは甲子園の土を踏める喜びをかみしめている。

 当時の敦賀気比はエースに笠島尚樹投手(20)=現プロ野球巨人、主軸に長谷川信哉選手(21)=現西武=を擁し、主将だった岡村匠樹さん(20)は「甲子園でも勝ち上がれるチーム」と振り返る。20年は春の選抜大会出場を逃し、夏の甲子園を目指していたが、5月に新型コロナ禍による大会中止が決まった。選手たちは泣き崩れ、岡村さんも「頭が真っ白になった」。

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 そんな中、同様に夢を絶たれた都内の元高校球児らが、幻となった夏の甲子園を実現させようと「あの夏を取り戻せ~全国元高校球児野球大会2020―2023~」と銘打ったプロジェクトを立ち上げ、3年越しで試合開催が決まった。

 敦賀気比OBチームの代表としてプロジェクトチームとの交渉役を務めた宮階宣全さん(20)は「最初はできるわけがないと思っていた。感謝の気持ちでいっぱい」と胸を熱くする。岡村さんも驚きながら「(再び)敦賀気比を背負わせてもらい、純粋にみんなと野球ができることが楽しみ」と心待ちにしている。

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 甲子園球場は11月29日しか借りることができなかったため、セレモニーの後、何らかの形で1試合だけ行うことを検討している。翌30日と12月1日、甲子園以外の兵庫県内の球場で各チーム1試合ずつ交流試合を行う計画。敦賀気比OBチームは当時の3年生25人で出場を目指しており、宮階さんは「やるからには勝ちにこだわりたい」と意気込んでいる。

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