米原子力空母 5月19日長崎・佐世保寄港 スウィーニー少将、被爆地の心情「理解」

米海軍が報道陣に公開した原子力空母「ニミッツ」の甲板。戦闘攻撃機などが並ぶ=17日午後、九州西方の東シナ海

 米海軍の原子力空母「ニミッツ」が19日、佐世保に寄港する。長崎は被爆地。寄港を複雑な心境で受け止める県民もいる。洋上のニミッツで取材に応じたクリストファー・スウィーニー少将は「第2次世界大戦は明らかに悲劇的な出来事」と強調。長崎県民の心情を「理解している」とした上で「温かく受け入れてもらえたら」と語った。
 米海軍は17日、九州西方の東シナ海を航行中のニミッツを報道機関に公開した。同日午前10時ごろ、福岡市内から軍用機で離陸。約1時間20分後に着艦する際には、胸を押し付けられるような重力を感じた。甲板に降りたつと、青空の下に多数の戦闘攻撃機が並んでいた。
 米海軍によるとニミッツは全長約333メートル。動力は2基の原子炉。約70機を搭載し、乗組員は約5千人。昨年11月に米ワシントン州の母港を出発し、4月には東シナ海で日米韓の共同訓練に参加した。
 隊員に案内され、FA18戦闘攻撃機の離着艦訓練を間近で見学した。すさまじいごう音を立てて飛び出し、一気に上昇。甲板からは白煙が上がり、10数秒後には空に吸い込まれ見えなくなった。着艦では、甲板に張ったワイヤを機体の後ろにあるフックに引っかけ、最短距離でスピードを落として止める。こうした訓練が約30秒おきに続いていた。「命懸け」の高度な技術で、隊員の心的負担も大きいという。訓練は昼夜を問わず行われているという。
 午後1時半ごろ、ニミッツが所属する第11空母打撃群の司令官、スウィーニー少将が艦内で取材に応じた。中国の海洋進出に対しては「準備はできており、懸念はしていない」と冷静だった。
 被爆地への寄港について問うと「戦後70年以上経過し、日本も米国も国として成長している。船員に県民の考え、長崎、広島の歴史について理解してもらわなければならない」と静かに語った。そしてこう強調した。「日米の同盟国という立場は、互いの国や地域にとっても重要だ」
 時折、艦内には離着陸のごう音が響き、乗組員らのピリピリとした緊張感も漂っていた。

被爆地長崎への寄港に対し県民感情を理解した上で「温かく受け入れてもらえたら」と話すスウィーニー少将=17日午後、九州西方の東シナ海

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