【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第28話 美しき噴水と王冠が輝く野球場

澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。メジャーリーグ武者修行の旅でアメリカ中を飛び回り、全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

美し過ぎる野球場

アメリカのど真ん中、KCとも呼ばれるカンザスシティに本拠地を構えるロイヤルズ。1969年に誕生し、1985年と2015年の2度、ワールドチャンピオンになりました。

外野スタンドに広がる噴水『スプラッシング・ファウンテン』で、全米で最も美しいスタジアムとも言われています。噴水の幅はおよそ100メートルにもわたり、民間が出資した世界最大の噴水として、1973年の開業当時から愛され続けてきました。

日が暮れ始め西日が差してくると、太陽に照らされて、キラキラとその輝きを増します。夜にはライトアップされ、幻想的な表情も見せてくれます。

夕暮れ時がイチオシ‼︎

カウフマン・スタジアムへ

カンザスシティ国際空港から、車で南に向かいます。200以上もの噴水がある街中を抜けて、雄大なミズーリ川を渡れば、30分ほどで到着です。公共の交通機関があまり通っていないので、タクシーかレンタカーがオススメ。

ロイヤルズの野球殿堂にも入っている初代オーナー・カウフマン夫妻の銅像に出迎えられたら… Kauffman Stadium! Nice to meet you!!!

ようこそKCへ!

1時間半くらいかかりますが、バスを乗り継いでのんびり旅するのも楽しいそうです。交通の要衝として発展してきただけあって、多様な文化が広がります。名物のバーベキュー、ジャズも魅力たっぷりです。

Ballparkの楽しみ方

フィールドの先に見える景色が素晴らしく、とても気持ちよく野球観戦できるのが特徴です。ロイヤルズの名の通り、高貴な王冠が目を引く特大ビジョンは、高さ32メートル。

「ロイヤル」とは「国王の」などの意味を持つ言葉ですが、チーム名の由来は、カンザスシティ恒例の家畜祭「American Royal」から来ているそうです。同じ語呂でもある「王」の意味も大切にしていて、球団マスコット「スラッガー」は、百獣の王ライオンで、頭の毛並みも王冠になっている愛されキャラです。

外野スタンドの向こうにあるキッズエリアも充実。小さな野球場や、バッティングケージ、さらにはメリーゴーラウンドまで。少年が選んだのは… 馬でも、マスコットの「スラッガー」でもなく… バットとグローブとボールが合体した乗り物でした。

ナイスチョイス!

MLBの野球中継の楽しみ方

ロイヤルズの解説を務めるのは、レックス・ハドラーさん。1993年には、野村克也監督のもと、ヤクルトスワローズでもプレーしました。「大好きな日本のファンにプレゼントしたいんだ!」とバッグから出てきたのは、大量の野球カード。「試合前にやった乳搾りがカードになっちゃったんだ! 面白いだろ!」と豪快に笑いながら見せてくれました。

MLBの実況・解説者の中には、日本でのプレー経験がある方が結構います。日本人選手が登場すると、日本語でエールを送ったり、当時の思い出を、アメリカの皆さんに伝えたりしてくれています。現地の音声で試合を楽しむ時は、ブロードキャスターたちのことをチェックしてみると、懐かしい顔ぶれと再会できるかもしれません。

試合後にはファンサービスにも応じるナイスガイたち

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福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、22年12月に復職。写真:福田太郎

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