【解説】ウクライナ・韓国も広島サミット合流 ゼレンスキー大統領の “2つの理由” 日韓「あうんの呼吸」

― 19日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がG7広島サミットの拡大会合に出席するため、広島空港に到着しました。

共同通信社 編集委員・論説委員 太田昌克 さん
「さきほど、日韓の外交筋に電話取材したんですけど、日曜日の午前中、朝、岸田総理ご夫妻、尹大統領ご夫妻の4人で参拝をされるということです。その後に日韓の首脳会談を行うという段取りに今のところなっていると。どういういきさつで日韓、要するに被爆者というのは、核の被害ってのは国籍関係ないんですよね。韓国の方、北朝鮮の方も多く気づいておられる。今も苦しんでおられる。核なき世界を目指すにあたって、わたしは非常に重要な第一歩だと思うんですが、いろいろと裏話を聞いていますと、尹大統領に日本政府から今回、招待状がG7でアウトリーチの国として参加してほしいと。韓国政府が尹大統領の日程を広島で組み始めて、韓国人の慰霊碑に行くっていう日程が組まれた。それを聞きつけた日本政府ですね、先々週ですか、日韓の首脳会談がソウルでありましたけれども、そこで岸田さんから一緒に行きませんかというふうな、尹さんの日程を把握していた日本側がアプローチをして、言ってみれば、あうんの呼吸で、今、日韓関係はうまくいっていますから。これは、いいことだっていうんで、どうもあさって21日の共同参拝になるということですね」

― この韓国人原爆犠牲者慰霊碑の参拝については本当に日韓両方から歓迎する声が聞かれますね。
「ぜひ、北朝鮮の核問題もありますからね。この東アジアでまた核を使っては絶対、いかなる形でもいかんのだというメッセージを日韓首脳にまず出していただきたいですし、中国・ロシアにさらに呼びかけて、いずれは核兵器に依存しない安全保障体系を作っていく必要がある。そういう、なんていうんですかね、未来へ向けて核に依存しない、核なき世界への本当に前へ進む一歩にしてほしいと思いますね」

― 今、その核の脅威、核の使用を示唆されていたのが、ウクライナ。ゼレンスキー大統領ですが、きょうの午後になって、広島にやって来ることが伝えらえました。

ゼレンスキー大統領 G7首脳らのいる広島へ “2つの理由”

「きのうくらいから、ひょっとして対面でっていうふうなうわさが記者団の間でも流れ始めて、1回、政府は否定するんですよね。だけど、こういう形でセキュリティの問題もあったんだと思いますね。わたしは、おそらく大きな理由は2つあると思います。1つは、まずゼレンスキー大統領がG7でやっぱり連帯・支援をさらに深めてほしいということで、今ちょうどアラブ連盟の会議がちょうどサウジアラビアでやっているんです。そこにゼレンスキーさんが行かれると思うんです。それでアメリカの軍用機でおそらく岩国にやってくると思うんですけれども、そのうえで広島だと思うんですが。もう1つの理由は、やっぱり今、1991年、ソ連が崩壊した後、5000発の核が残されたウクライナは核兵器を放棄したんです。核兵器を放棄するから代わりに安全の保障というものをアメリカ・イギリス・ロシアからもらったにもかかわらず、今回、核を持っている国があからさまな武力の威嚇によって侵略戦争を今も続けている。決してウクライナで核の使用があってはいかんのですよね。それを被爆地・広島からメッセージを出す。ぜひ、原爆資料館にも行っていただいて、岸田さんも付き添えばいいと思うんです。被爆者の方にも会っていただいて、絶対、核はいかんのだというメッセージをゼレンスキーさんに出していただきたいですね。

― オンラインで予定されていたゼレンスキー大統領が実際にここに来ることになった。その背景もいろいろ動きはあったんでしょうね。
「おそらくですね。ごめんなさい。これ、まだ、わたしも今晩・あした、取材しなきゃいけないんですけども、やっぱりキーウに岸田総理が覚悟を持って行かれたということの答礼の意味もありますよね。あと、実は反転攻勢、ウクライナはこれから行う、すでに行われているといわれているんです。そういった中で、やはり長い戦争になる。場合によっては年をさらに越すおそれも残念ながらある中で、やはり支援を求めたいということもありますし、和平の道筋、そこもなんとかしていきたい。グローバルサウス(新興国・途上国)がいっぱい来ていますから、グローバルサウスの力も借りて、和平の道筋、中国への働きかけと、おそらくそういう願いもゼレンスキーさんはお持ちなんじゃないかなと思います。

― ゼレンスキー大統領ですけれども、あす20日、日本に到着して、あさって21日にG7サミットの首脳会議に対面で出席するということがわかりました。ここまでが今、わかっている情報です。

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