栃木県小山市下生井の渡良瀬遊水地で19日、今春生まれた国の特別天然記念物コウノトリのひな2羽に、個体識別のための足輪を装着する作業が行われた。生後43日と推定されるひなの体重は4.2キロと4.1キロで、専門家によると生育は順調。4年連続となる作業については、「親鳥への配慮などもきめ細かく、スムーズにできた」という。
コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネル(IPPM-OWS)の協力で、同市などが実施。飼育員や市職員など約20人で作業に当たった。
午前10時ごろ、遊水地内にある高さ12.5メートルの人工巣塔に高所作業車で近寄り、ひなを網で捕獲。地上に降ろして足輪を付け、体重測定や雄雌の判断などをするため血液と羽毛の検体採取を行った。捕獲から約40分後、巣に帰すと、それから30分ほど後に親鳥も戻ってきた。
作業に携わった兵庫県立コウノトリの郷公園主任飼育員の船越稔(ふなこしみのる)さん(59)は「ノウハウの蓄積で、小山市は関東地区で(保護活動の)リーダーとなる。コウノトリをシンボルとして、人も住みやすい環境を考えるきっかけにしてほしい」と話した。
人工巣塔から約400メートル離れた堤防上には市民ら約50人が訪れ、写真撮影したり双眼鏡を手にしたりしながら作業を見守った。
同市、パート女性(60)はライブ配信動画を見て駆けつけたといい、「足輪を装着する作業を見るのは初めてで、無事に終わって安心した。早く雄雌が分かり、名前が決まるといい」と笑顔を見せていた。
同市によると、来月中にもひなの命名式を行うほか、巣立ちが見込まれるという。