やめられない、とまらない 社会科見学の定番! 人気の秘密に迫る【動画】 【実はとちぎで作っています】⑥カルビー清原工場

カルビー清原工場

 「ポテトチップス」「じゃがりこ」など多くのヒット商品を持つ大手菓子メーカー「カルビー」の清原工場(宇都宮市清原工業団地)が見学を再開すると聞き、早速取材を申し込んだ。清原工場に行くのは、小学校の社会科見学ぶりだ。楽しい記憶を思い出しながら、軽い足取りで工場に向かった。

 県内初のカルビー工場は1968年操業の宇都宮工場。広島県で生産していた「かっぱえびせん」を東日本エリアへ販路を拡大し、作りたての商品を店頭に届けるための生産拠点として設けられた。現在は、県内に清原工場、新宇都宮工場、研究開発を行うR&Dセンターの3拠点を構えている。

 清原工場は国内最初で最大のシリアル生産拠点で、主に作っているのは、「フルグラ」と「かっぱえびせん」。工場見学は県内外問わず人気で、新型コロナウイルス禍の前は、小学校約80校の児童含め、年間約9千人が訪れていたという。

 工場に着くと、大勢の従業員が笑顔で出迎えてくれた。渡された名刺を見てみると、カルビーのお菓子の写真が印刷してある。写真はランダムで、14種類もあると教えてもらった。

 工場見学の入り口に向かうと、大きなぬいぐるみの間にウェルカムボードがあった。細かい部分まで気配りがすごい。

 見学では、まず工場の概要や製品などについて学んだ後、リニューアルしたという廊下に案内された。壁に年表と製品の絵がずらりと並ぶ。どの製品も聞いたことや食べたことのある製品ばかりで驚いた。

 次に、かつて工場に赴任したばかりの新入社員が手作りしたというボートを使って、かっぱえびせんの作り方を聞く。工場では、広島工場から送られてきた生地を膨らませ、味付けして袋詰めするなどの作業が行われる。年間約1億袋が作られ、北海道、東北、関東、中部の東日本エリアに運ばれていくのだという。

 作り方を教わった後は、工場内部の見学へ移る。取材日はちょうど期間限定の「かっぱえびせんフレンチサラダ味」が作られていたため、少し酸っぱい香りを感じた。膨らませる前の生地や味付け前のかっぱえびせんを触らせてもらい、窓越しにかっぱえびせんが流れていく様子や手際よく袋を段ボールに詰めていく従業員の様子を見学した。

 かっぱえびせんの後は、フルグラの製造過程を見るために、カラフルな通路を移動していく。壁にはフルーツなどが描かれていて、かわいらしい。巨大な皿に牛乳を注いでいるように見えるフルグラのトリックアートが描かれた壁で記念撮影をした後、製造見学エリアに足を踏み入れると、焼きたてのクッキーのような甘い香りが全身を包んだ。

 工場では、オーツ麦や玄米、アーモンドなどの原料をシロップなどと混ぜて伸ばし、焼き上げる。焼いた生地は砕いてフルーツなどと混ぜて包装される。年間約6千万袋のフルグラが製造され、全国に運ばれていく。

 見学では、流れていく生地を見ながら、砕く前の生地を触らせてもらえる。厚みがあって、このままでもかなりおいしそうだと感じた。

 一通り見学が終了した後は、念願の試食タイム。実際に製造されているフルグラとかっぱえびせんを口に運ぶと、いつも家で食べているときよりも数倍おいしく感じた。

 手塚勝則(てつかかつのり)工場長(47)は「フルグラもかっぱえびせんもカルビーの大きな柱で、従業員たちの愛着も強い。全員一丸となって作っている様子を見て、カルビーのファンになってもらえたらうれしい」と話した。

 最後に、清原工場の壁を登っている有名な「カルビーおじさん」に手を振って工場を後にした。大人になってもやめられない、とまらない魅力があふれた工場見学だった。

清原工場で製造しているかっぱえびせん(左)とフルグラ
清原工場見学入り口
ウェルカムボード
かっぱえびせんについて描かれた手作りのマップボード
成形されたかっぱえびせんが流れていく
1袋分の量をはかり、袋詰めされていく
フルグラの原料
フルグラの生地がシート状のまま香ばしく焼き上げられる様子
フルグラの生地を触る体験
試食体験ブース
フルグラ製造工程で働く従業員
清原工場の壁を登っているカルビーおじさん

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