栃木県内の宿泊施設 観光需要増す夏シーズンに向けた対策は

 新型コロナウイルスの5類移行を前に行動制限が無かった春の大型連休は栃木県内の観光地でもにぎわいを見せましたが、観光需要が戻りつつある一方で、宿泊施設が直面しているのが「深刻な人手不足」です。一年を通じて最も忙しい夏を前に、高まる観光需要への対応策について宿泊施設を取材しました。

 栃木県を代表する観光地・日光の鬼怒川温泉にある日光きぬ川ホテル三日月では、新型コロナの5類への移行を控えた4月ごろから団体客の予約が急に増えたといい、そのうち7割程度が宴会を行っています。菊池保匡支配人によりますと、大型連休の宿泊者数はコロナ禍前には及ばないもののおよそ260部屋ある客室のうち8割程度が埋まったということです。

 観光需要が戻りつつある一方で今深刻な問題となっているのがベッドメイキングや施設の清掃などを行う「スタッフの人手不足」です。これまで協力会社に委託していましたが作業スタッフがコロナ禍で高齢などを理由に職場を離れてしまい求人を募ってもすぐに補えないため現在は、ホテルの従業員が仕事を分担しながら持ち回りで対応しているといいます。人手不足を補うため、ホテルでは自動で清掃や配膳を行うロボットを導入しました。それでも、接客のほとんどは人の手が必要となるため団体客の受け入れや宴会の対応がスムーズにできないこともあるといいます。

 さらに、若い従業員はコロナ禍の影響で接客の経験が少なくこれから迎える夏の繁忙期を前に現場での経験や研修が必要だということです。またホテルでは観光庁が今年度行っている事業の助成金を活用し施設をリニューアルしました。コロナ禍の爪痕が残る中、世界中から訪れる観光客を満足にもてなすための模索は続いています。

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