「彼は忙しいのに来る。誇りに思う」ウクライナの姉妹 ゼレンスキー大統領 広島サミットへ

中根夕希キャスター
現在、原爆ドームそばの相生通りに来ています。わたしは、ゼレンスキー大統領が来日するという情報を受けて、ウクライナから広島市に避難している姉妹にけさ、話を聞いてきました。

ウクライナから広島市に避難している、姉のファジリャさん(20)と妹のマリアさん(18)です。

中根夕希 キャスター
「あの建物がG7サミットの会場になります」

姉 ファジリヤ さん
「待ってみようかな」

地元キーウを離れて半年が経ちました。オタフクで正社員として働きながら、休日は2人で出かけるなどして日本での思い出も増えてきました。ただ、地元に帰りたい気持ちは募る一方です。

姉のファジリャさんは、今でも戦争のことを話したり考えたりすることがつらいと感じています。

姉 ファジリャ さん
「でも、それを伝えることが日本や世界の人にとって大事なことだと思うし、ウクライナの状況について知ってほしい。そのためにわたしも何かできると思う」

2人は、2019年に母の仕事の都合でキーウに引っ越すまで、クリミア半島で生まれ育ちました。

クリミアは、2014年にロシアが併合し、実効支配している場所です。姉妹は2度もロシアによる侵攻に振り回され、ふるさとでの自由な暮らしを奪われました。

姉 ファジリャ さん
― 今回、ロシアが侵攻して、地元を奪われたのは2度目…。
「1番の疑問は、なぜ、また来て、ウクライナの人々を殺そうとするのか。もう1つ、何がしたいのか」

ロシアにいた友人はプーチン大統領を支持…。戦争がきっかけで疎遠になりました。

妹 マリア さん
「プーチン大統領は、わたしたちに誰がどんな人かを見せつけた。誰が信用できないかもわかった。彼らはわたしたちの住む場所を2度も変えさせた。それが最後だったと願いたい」

「なぜ、1年以上、誰も戦争を止められないのか」―。2人は、状況を変えられるのは、「世界のリーダーしかいない」とサミットでの議論に期待しています。

妹 マリア さん
「戦争を安全に、平和に終わらせるためには、ウクライナの勝利しかないと思っています。世界のリーダーが、わたしたちを救う新しい方法を見つけてくれると信じています」

ただ、ふるさとに戻って大学で勉強をしたり、家族や友だちと過ごしたい。姉妹の願いは、それだけです。

そして、けさ(20日)…

中根夕希キャスター
「おはようございます。すてきな服ね。かわいい」

妹 マリア さん
― きょう夕方、ゼレンスキー大統領が来日する予定です。
「彼は本当に忙しいのに来ると…。誇りに思います」

― G7の首脳たちにどんなメッセージを伝えてほしい?
「ロシアとどう対話するか議論して、犠牲者なしに戦争を終わらせてほしい。それがこのG7サミットで一番願うこと」

姉 ファジリャ さん
「ウクライナの人たちは彼を支持しているし、信じています」

国際ジャーナリスト モーリー・ロバートソン さん
いやあ、本当に英語が第1言語ではなく、ロシア語とウクライナ語はふつうにしゃべられると思うんですけども、ああやって英語でお話をされているっていう、本当にがんばって伝えようとする意志ですよね。これだけ悲しい思いをしているのに、たくましく日々、働いてですね、なるべく人生の明るい部分を見つけにいこうとしている、そういうひたむきな姿勢が本当に心を打ちました。

青山高治 キャスター
しかも2度も自分たちの地元を奪われたわけです。

モーリー・ロバートソン さん
ちょっと一言だけ意見を言いたい部分あるんですけども、日本では、よく戦争と平和っていう議論は軍を持つか持たないかという日本国内の事情に目が向きがちなんですけれども、今回、ウクライナ戦争を終わらせるためには、ウクライナの勝利がどうしても必要なんだという、この方たちの意見をちょっと受け止めてほしいと思いますね。

シンガーソングライター 瀬戸麻由 さん
留学時代の友人も現地にいたりするので、本当にここも早く、あの人々の暮らしが安心して送れるようになってほしいと思います。

© 株式会社中国放送