ゼレンスキー大統領 サミット参加の背景 鍵握るグローバルサウス 共同通信・太田氏に聞く

G7広島サミットでの対面での参加が明らかになったウクライナのゼレンスキー大統領。その背景には何があるのか、核問題に詳しい共同通信社の 太田昌克 編集委員・論説委員に聞きました。

広島でG7サミットの取材を続けている共同通信の太田編集委員は、ウクライナのゼレンスキー大統領の対面での参加が、急転直下、決まった背景をどうみているのでしょうか。

共同通信社 編集委員・論説委員 太田昌克 さん
いわゆるグローバルサウスという途上国・新興国で必ずしもウクライナに対する支持が100%ではないところ、例えば、制裁に参加していない、国連総会の決議においても棄権をするとか、ないしは反対をするといった、そういう国、ロシアとの関係において微妙なバランスをとっている国がグローバルサウスに多いということで、今度はそこに外交攻勢を今、ゼレンスキー氏がかけている。

広島に来ればインド・インドネシア・ベトナム、それからブラジル、グローバルサウスに働きかけをするには広島が打ってつけの場面だ。外交の場面だということである。

カギを握る「グローバルサウス」。さらに、ゼレンスキー大統領の広島訪問の思惑についてはー

太田昌克 さん
被爆地・広島で資料館を見るかどうか確定はしていないが、原爆資料館を見る。仮にあと、被爆者と対面するということになれば、それはやはり核が使われたらこんなに人間的悲惨な状況が起きてしまうんだと。決してあってはならないんだと。

そうやってロシアで核の威嚇を繰り返してきたプーチン大統領に対して鋭いシグナルを送ることができるというふうな、言ってみれば核使用のオプションを封じるための外交攻勢とも言えると思う。

では、太田氏がゼレンスキー大統領の広島訪問に期待することとはー

太田昌克 さん
核を持っていて、こうやって核の脅しによって通常戦争をやる国があるんだ。これが核のもう1つの許されない役割といいますか。核が可能にしている長期消耗戦の本質は何かというのは、やはり核というのはもちろん使われちゃいけないし、威嚇・脅しの部分も使ってはいけないんだけど、実際、こうやって核のカード、威嚇をちらつかせることによって長期消耗戦を可能にさせているという側面もあります。

ですので、やはりゼレンスキーさんは資料館に来られて、「やはり核の脅しはいかん、核の使用は絶対許されないんだ」ということを全世界にアピールして、プーチン大統領に対して精神的な圧迫をし、使えないような核のタブーをより強めるようなメッセージを出していただきたい。

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