水戸・鯉淵学園 新たに「農福連携」拠点 IT企業運営、レタス栽培

丁寧に収穫作業をする女性と、栽培具合をチェックする七井拓也農場長(左)=水戸市鯉淵町の鯉淵学園農業栄養専門学校

心身に障害があり、働く場が限られる人たちと農業を結び付ける「農福連携」の拠点が、また一つ茨城県内に誕生した。水戸市鯉淵町の鯉淵学園農業栄養専門学校(長谷川量平学園長)内にある「ふくろうファーム鯉淵学園」(七井拓也農場長)だ。水耕栽培で無農薬のリーフレタスを栽培する。七井農場長(36)は「手順が決まっているため取り組みやすい仕事。雇用を拡大したい」と意気込む。

ふくろうファームは、システム開発を手がけるIT企業「フォーカスシステムズ」(東京都)が運営する。縁あって、長年未利用だった同学園のハウス1棟を借りて修繕し、生産を開始した。2019年に設立された障害者就労施設の自社農場「ふくろうファーム千葉」(千葉県)に続き、2カ所目となる。

ふくろうファーム鯉淵学園では、現在ハンディキャップを持つ2人が働く。約2週間の実習を経て採用となった。担当する仕事はリーフレタスの種まきから栽培、収穫、梱包(こんぽう)までを行う。七井農場長は「障害がある人にとって、作業の変化は負担がかかる」と、仕事の手順などに細やかな心配りをする。

2人は、細かなヒダがある水耕用レタス「マルチリーフクイーン」と大ぶりの葉が特徴的な「マルチリーフリボン」の2品種を栽培している。種をまいた後、約40~45日で収穫できるため、年間を通じて出荷していく予定だ。ハウス内で作業をしていた女性(51)は「実習をした時、自分にもできそうだと思った。育てた商品を食べてもらえる楽しみがある」とうれしそうに語った。

ふくろうファーム鯉淵学園は、将来的に販路拡大のため栽培面積や品目を増やしたい考え。しかし、七井農場長は「採用したいが人が見つからない。障害のある人はどう求職しているかがつかめない」と、課題を挙げた。鯉淵学園農業栄養専門学校の長谷川学園長(52)は「『農福連携』は農業の在り方の一つ。特性に応じた作業を行うことで、非常にしっかりした商品ができる。(学園が)理解を深めるスタート地点になれば」と期待した。

リーフレタスは同学園の農産物直売所「農の詩」で購入できる。問い合わせは(電)029(259)9004へ。

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