引退後の人生、何をする? アイスホッケー・東北フリーブレイズ、選手が民間企業でインターン

一本一本細部まで確認しながら、酒瓶のラベル貼り作業を行う田中選手

 青森県八戸市などを本拠地とするアイスホッケー・アジアリーグの東北フリーブレイズは、選手のセカンドキャリア(現役引退後の生活)充実に向けた研修事業「キャリアデザインプロジェクト」を昨年6月から実施している。参加した10選手のうち、3選手が市内外の企業でインターンシップに挑戦。FW田中遼選手(36)は、同市南郷のクラフトビール製造「カネク醸造」でインターンシップを行い、企業での働き方を体験しながら、第二の人生の選択肢を広げた。

 同プロジェクトは、選手が現役引退後の生き方について考え、行動する力を身に付けることを目的として実施。アスリートのキャリア支援を行う一般社団法人「アポロプロジェクト」(東京)が協力し、選手たちは「自分」「他者」「社会」のそれぞれを知るという三つのフェーズを通して、自分自身と社会の関わり方や、社会で活躍している元アスリートの生き方を学んできた。

 「お酒が好き」という田中選手は8~12日、チームのコーポレートスポンサーであるカネク醸造でインターンシップを実施。「ホッケーはミスを取り返せるが、お客さまの手に渡る商品はミスが許されない」と一本一本細部まで確認しながら、酒瓶の殺菌や洗浄、ラベル貼りなどの作業を5日間で約1300本行った。

 田中選手は「製品作りの裏側や、企業で働く社会人の大変さを知ることができた。今後社会へ出たときにこの経験を生かしていきたい」と意気込んだ。

 同社の坂本健太工場長(34)は「地道で大変な作業もあったが、今回のインターンシップで田中選手の将来の選択肢が広がってくれたらうれしい」と話した。

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