ふるさと納税戦国時代「本気で結果出さねば」広域連携や返礼品増…“赤字脱却”へ本腰の静岡市

太平洋から日本海までの静岡市を含む5市が5月22日、全国で初めてふるさと納税を活用した連携を締結し、独自の返礼品で地域の魅力を発信します。ふるさと納税は今や自治体の貴重な税収。全国から注目してもらうため“あの手この手”で戦略を練ります。

新鮮なフルーツをふんだんに使った5種類のジャム。静岡市の甘夏のブランド「スルガエレガント」が使われているこの新商品はふるさと納税の返礼品です。

22日、静岡市の難波喬司市長が出席した締結式。太平洋から日本海まで続く高速道路の沿線5市が、ふるさと納税を活用して地域の魅力を発信し、観光促進につなげていこうと協定を結びました。

<静岡市 難波喬司市長>

「これでまた連携が深められるなと思っています。ジャムは絶対的においしいですから。このルート、食の魅力はすごいですね」

さらに国内最大級のふるさと納税総合サイト内に特集ページを企画、スイーツのほか宿泊や観光などの体験型の返礼品をPRします。全国に浸透するふるさと納税。魅力ある返礼品で納税先に選ばれる自治体がある一方、静岡市には危機感があります。

2021年度の寄付の受け入れ額が約4億円に対して、流出額は約22億円で制度の上では赤字状態。返礼品の経費などを差し引くと静岡県内で最もマイナスの収支となっています。

<静岡市 難波喬司市長>

「本気でやるかどうかだと思います。商品をしっかり開発していく。(隣の)焼津市長にもハッパかけられましたけど(笑)」

その焼津市で注目を集めるのがネギトロ。マグロのうまみをしっかりと感じられる粗めの粒感に仕上げた大富水産(焼津市)の人気商品です。

<大富水産 西村玲子店長>

「ふるさと納税の方が出荷が多い。店頭よりはかなり出荷してます。かなり潤ってます」

家庭で過ごす時間の多かったコロナ禍で人気に火がつき、リピーターも多いといいます。

ふるさと納税の寄付額が全国でもトップクラスの焼津市。2022年度寄せられたふるさと納税の金額は過去最高の75億円を超え、4年連続で県内1位を独走する見込みです。

<焼津市ふるさと納税課 山下浩一課長>

「焼津市は全国でもトップクラスの返礼品の種類、約1400種類あり、非常に多く良質なものを取りそろえている。皆さんに認められているところかなと思います」

人気の理由は返礼品の種類の多さ。ネギトロだけでも10以上の事業者が出品していて、納税者のニーズに応えやすくなっているほか、返礼品をPRするため東京都内のイベントにブースを出店するなど市をあげてふるさと納税を盛り上げています。

一方、静岡市も本腰を入れ始めていて、2021年から返礼品の公募を開始し、400種類ほどだったラインナップはいまや、焼津市と並ぶ約1400種類。22年度の受け入れ額は8億円を超えていて、2倍以上増えました。

<静岡市 難波喬司市長>

「50億(円)とか、それくらいを目指すつもりでやらなければならない。結果を出さないといけない」

地方の自治体がしのぎを削る「ふるさと納税戦国時代」。地域を活気づけるための本気度が試されています。

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