越前市が「ChatGPT」で住民の質問に回答 転出・転入手続きやゴミ分別、住宅補助…導入向け試験

福井県越前市が試験導入したチャットGPTの機能を試す職員=5月22日、福井県の越前市役所
「越前市で観光したい」との質問に回答したチャットGPTの画面

 福井県越前市は5月22日、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を県内自治体で初めて業務に試験導入した。質問や相談に対してインターネット上の情報から文章で回答を導き出す機能を、住民サービスの向上と業務効率化に役立てるのが狙い。住民向けの質問回答と職員利用の2分野でシステムを運用し、効果を検証した上で本格導入を目指す。

 東京都のシステム開発会社と連携し、チャットGPT機能を付加した質問回答システムを庁内に導入した。

 住民向けサービスでは、転出入や出産に伴う行政手続き、住宅関連の補助制度、ごみ分別、観光など暮らし全般に関する質問への回答に活用する。必要な情報を要約して即座に提供できるのがメリット。試験運用は庁内限定で実施し、各職員が所管業務で想定される質問を入力して実用性を確認する。⇒「越前市で観光したい」って聞いてみた

 庁内職員の利用では、市が定める各種計画や例規、会議録、国・県の情報に基づいて質問に回答するシステムの運用を近く始め、施策立案などの際の資料作成に役立てる。作成時間の短縮に加え、全庁的な情報把握によって部署を横断した視点を企画に取り入れられる効果を見込んでいる。

 チャットGPTは、回答の正確性に課題が指摘されていることも踏まえ、住民向けシステムでは情報の取得先を市のホームページ内に限定する。質問と回答の内容は市専用のクラウド上に保存し、外部に流出しない仕組みとしている。

 試験運用は9月末までをめどとし、チャットの履歴データなどを分析して本格導入を検討する。市デジタル政策課は「常に新しいデジタル環境を試して課題を乗り越えることで、いち早く住民サービスを高めていきたい」としている。

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 チャットGPTを巡っては、福井県が活用を検討する庁内プロジェクトチームを設置する方針を示している。全国の自治体では、神奈川県横須賀市が4月に全庁で試験導入を始めた。一方、鳥取県は政策策定や議会答弁の資料作成での使用を禁止するとしている。

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