被爆者火葬の地を清掃 諫早・百日紅公園 2世や学生ら、史実継承へ思い新たに

「嘉代子桜」の苗木(中央)が植樹された園内を清掃する学生ら=諫早市、百日紅公園

 多くの原爆犠牲者が火葬された長崎県諫早市天満町の百日紅(さるすべり)公園で21日、被爆2世や大学生ら約50人が清掃活動に取り組み、史実の継承や平和への思いを新たにした。長崎原爆の日に向けた恒例の活動で、主催した市原爆被災者協議会、長崎被災協・被爆二世の会・諫早は8月11日、子どもたちも招き、同公園で慰霊祭を営む。
 同公園にはかつて市営火葬場があり、長崎から逃れて息絶えた被爆者らが荼毘(だび)に付された。その数は400~500体と伝えられている。史実を継承していこうと、被爆者や2世が中心になって2020年、園内に慰霊碑を建立。学徒報国隊員として動員された長崎市の旧城山国民学校(現・市立城山小)で被爆し命を落とした林嘉代子さん=当時(15)=や女学生らをしのぶ「嘉代子桜」の苗木2本も植樹した。
 清掃には地元の鎮西学院大の学生らも協力し、生い茂った雑草を刈り取るなどした。初参加した同大3年、園田翼さん(20)は「被爆者が火葬された場所とは知らなかった。何げない日常を送れることが幸せなのだとあらためて感じた」と話した。
 市内の小中学校と連携して平和学習に取り組む被爆二世の会・諫早の髙屋忠義会長(70)は「地道な活動を各地域で続けていけば、戦争は起きないという信念でこれからも(継承活動を)やっていく。若い世代に(ここでの史実を)知ってもらい、少しでも広めていってほしい」と語った。

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